■日時 2016年3月17日、3月26日、4月9日
■場所 東京国立博物館(東京都・上野)
■入館料  0円(年パス)
■交通費 388円(新宿⇔上野/往復)


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トーハクは前回の童子切に引続き、未実装刀剣の展示紹介になります。

2017年10月追記:大般若長光が実装されましたね!


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直刀 水龍剣
太刀 古青江康次
太刀 粟田口国安
太刀 手掻包永
太刀 一文字吉宗
太刀 長船長光(号 大般若長光)
刀 相州正宗(名物 観世正宗)
刀 郷義弘
太刀 青江守次
金房政次
刀 上総介兼重
刀 水心子正秀


直刀 無銘 (号 水龍剣)
奈良時代・8世紀 重要文化財
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まず驚いたのが制作年代。奈良時代だってよ!!奈良時代ってだいたい1200年以上前かな?
時代の呼び方が違うだけで平安刀たちとどれくらいの時代差があるかはわからないけれど…それでもギョッとしちゃいました。こんなにしっかとり、美しいまま残っているんだもの。

両刃ではないけど号に「剣」とつくこの直刀。脇差しくらいのサイズかな〜と思ったら62.1cm。打刀サイズですね。刃の色はちょっと暗め、鈍色。
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切刃造。パッと見、刃文は無いのかと思ったけれど、ちょっと屈んだ体制で見たらほそーく直刃が見えました。

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刀身はきれいでも、茎はボロっとしていて古さを感じます。
茎尻に開く大きな穴。これを目釘孔と書いているものもあれば下げ緒の為にあけた孔とも聞きます…どっちであってもそんなところに開いていて不安定ではないのか気になるところ。→追記:この孔は「眼/ガン」というもので下げ緒の為のようですね。

それから滑らかに輝く波を模したハバキ。もしかしたら刀身そのものよりもこちらに目がいく人も多いかもしれませんね。


ところで、「水龍剣って、どの辺が水龍剣なの??」と思いません?
初めて見た時の感想はこれでした。水とか龍とかそういうものが刀身から来てるのか、はたまた大昔、川に大氾濫をもたらす水龍をぶった切ったエピソードでもあるのか…

その答えは拵えにありました。
トーハクの画像検索で拵えの写真を見る事ができます。
柄、柄頭、鞘尻にあしらわれる龍と波模様。なるほどこれが水龍。
奈良時代生まれの刀身に比べて随分新しい見た目だと思ったら拵えは明治時代の作。
正倉院に保管されていたこの直刀を気に入った明治天皇が拵を制作させ、その時に「水龍剣」の号もついたそうです。
写真でもいいから拵えも一緒に展示してくれたらよかったな〜!


太刀 古青江康次 銘康次
鎌倉時代・13世紀 重要文化財
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腰反りでしっかりとした幅のある太刀。鋒の方がやや細い踏ん張りのある姿。
ザラザラちりちりして見える地鉄は、縮緬肌(ちりめん肌)と呼ばれる青江派の特徴が表れています。
小乱と小丁子が混じる刃文は、飛行機や山の上から見た雲海を描き出しているようで、なかなか味わい深かったです!

この太刀には縮緬肌の他にもう一つ見るべきところ、「鯰肌/なまずはだ」があります。
刀身をよく見ると、横長に楕円の黒っぽい模様があります。
一見すると映りのようですが、青江派に表れるこれについては鯰肌と呼ぶそうな。
この独立した楕円が連続して繋がっていると地斑映り(じふうつり/刃文の後ろにある黒っぽい影のようなもの)になるとのこと。

「来肌」という単語もあるけど、こういうのが来派の刀の中にあると来肌というくくりになるのかな?

鯰肌はハバキうえあたりに見やすいのがあります。見つけてみてね。



太刀 粟田口国安 銘国安
鎌倉時代・13世紀
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国安は粟田口六兄弟の一人で前回展示されていた久国の弟。
これも腰反り。隣の康次よりも反りは高くカクッとしています。
茎が歪…というか輪郭がガタガタ。
物打ちあたりに金筋のような線が見えました。
一見しただけでは小乱の刃文だけど、下から覗きこむようにすると丁子のような映りが見えて表情が変わるのがおもしろいです。


太刀 手掻包永 銘包永
鎌倉時代・13世紀 重要文化財
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手掻包永は刃の表と裏で異なる刃文を焼くことがままあるようですね。
これもそうで、キャプションには佩き表は細直刃・裏は乱刃と書いてありました。
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これ直刃なの………?刃取りしている部分がうねっているだけで、刃文自体は直刃なのかな?
裏側にも回ってみましたが刃文はよく見えませんでした。

地鉄は板目に小杢目混じり、ハバキ付近は柾目。物打ちあたりは沸がよく見えます。
磨り上げられているけど在銘なのは、包永が茎の上の方で銘を切るためだとか。故に在銘で残ってる太刀が多いようです。



太刀 一文字吉宗 銘吉宗
鎌倉時代・13世紀 重要文化財 撮影禁止
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トーハク13室のこの位置、そして福岡一文字と言われたら初心者の私が思い浮かべるのは派手・華やかな刃文の刀。
でも見てみてびっくり、今回は地味ー!
隣の長光と比べるとかなりかなりおとなしい刃文。一文字の特徴である丁子乱れも小さく控えめで、直刃調に少し丁子の混じる刃文でした。


太刀 長船長光 銘長光 号大般若長光
鎌倉時代・13世紀 国宝
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光忠の子、長光の作。詰んだ地鉄が美しいです。
号の「大般若」の由来は、この太刀に付けられた600貫という値段が、全600巻の大般若経と同じ「600かん」だったから。ダジャレですね(笑)

刃縁の明るい互の目混じりの丁子刃。
是非下から覗き込んで見てください。
縁がフワッと湯気、モヤのようになっていておもしろいです。
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あーん写真がイマイチ。実物はもっと素敵!

頭の片隅でずっと「長船の刃文は高低差があるような……波のような……このよくわからない落差………」と気になっていたんですよね。
実はこれ刀派のクセのようで、幅元から鋒までぶわーーっと激しく刃文を焼く一文字に対し、長船は横手から物打ちあたりの刃文が穏やかになるものが多いとのことです。
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実戦で主に使う物打ちあたりの刃文を敢えて抑えることによって、折れやすくなるのを緩和したのではないか?
というお話を聞きました。なるほど〜刃文の部分は硬くなる→折れやすくなるんですよね。(で合ってるよね??)

ホント、日本刀は化学的な話を避けて通れないな〜〜(゜_゜)


刀 相州正宗 無銘 名物観世正宗
鎌倉時代・14世紀
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今回の展示物の中では脇指を除いてこれが一番小ぶりかな。
中反りの美しい太刀姿です。
沸の善し悪しがまだわからないので、キャプションにある「沸出来の妙」というのがよくわかりませんでした(T_T)
沸をモノキュラーで見てみると、よく締まっていて匂のようにも見えました。粗っぽさが無く、密集しているかんじ。
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ハバキの下に彫られているのはカーン、不動明王の梵字と素剣。
敢えて柄で隠れてしまう茎に彫ったのかしら…ウーン、小憎い!

物打ちあたりだったかな…地鉄に楕円形の浮き(?)があるんですよね。これは折り返し鍛錬をした際に、うまく鉄がくっつかなかった場所ではないか?という話を聞きました。
が、詳しい事はまだ上手く書けないので割愛します〜〜(^^;)


刀 郷義弘 無銘
鎌倉時代・14世紀 重要美術品
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パッと見の印象は「コンパクト」でした。
正宗がすごくクッキリした表情なのに対しておとなしめ、肌も穏やか。沸がよくわかるのたれ刃です。


太刀 青江守次 銘備中国住守次作延文二年十二月日
南北朝時代・延文2年(1357) 重要文化財
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一文字と長船が並んでいるところが派手ゾーンならば、南北朝の刀が並ぶこの辺はパワーゾーンかな。
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今回も歪みなく、長いし太さもあるやつ………
の割には殺すマンオーラはあまり感じられなかったかな。鋒はこんなんだけどね。
鎬筋付近をよく見るとまっすぐな映り、棒映りがあります。


脇指 金房政次 銘南都住金房兵衛尉政次 天正十八年八月吉日
安土桃山時代・天正18年(1590)
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短いけど幅のある脇指。今回の展示の中で結構お気に入りのやつ。
一つずつ焼き頭のしっかりした互の目。

かと思いきや皆焼だってよ!なんだとーー!?
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角度を変えて肌をよく見ると、皆焼の輪郭のみが見えます。互の目が目立つのは刃取りをしているせいで、研ぎ方を変えれば所謂皆焼なかんじに見えるようになるとのこと。

これはこれで素敵だけど、皆焼が目立った姿も気になる〜〜!


刀 上総介兼重 銘上総介藤原兼重 寛文八年十一月吉日 撮影禁止
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和泉守兼重の子または弟子と考えられていて、一説には虎徹の師とも。
この刀は「数珠刃風の互の目」とのこと。
数珠刃…虎徹の説明でもよく出てくる単語ですね。連なってる互の目に足が入るものを数珠刃と呼ぶそうです。
ポイントは足で、足が無いものはただの互の目。でもはっきりしすぎるものはダメ。
「煙り込む」と表現する、グラデーションを帯びた足が入ったものだけが数珠刃とのこと………文章にするとわかりづらいですね。


刀 水心子正秀 銘川部儀八郎藤原正秀(花押) 寛政十年二月廿九日
江戸時代・寛政10年(1798)
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メモの最初が「わぁ〜きれいな刃!」でした。ゆるやかにのたれる刃文が美しく、地鉄は模様がよくわからないくらいキラッとしています。これが鏡肌なのかな?

水心子の時代、「実用性を重視するならば、昔の作り方のほうが良いのではないか?」と鎌倉や南北朝時代の作刀方法が研究されます。
水心子の刀は前期が助広風(今回展示の刀もそう)。
長光のところでも書きましたが、刃文は大きく広い方が折れ易い…助広といえば濤乱刃。濤乱刃は焼き幅(刃文の幅)が広いですよね。
そのため水心子の作風は、助広風から相州や備前風に変化して行きます。

助広と水心子の見た目の違いは姿にあるようで、助広の活躍した時代の刀はもっと反りが浅く、この刀と比べて鋒が小さいのです。
隣の兼重の姿に水心子の刃文を合わせると助広のようになるそうです。



以上で今回の紹介を終わります。
展示替えの度に必ず新しい用語や見方を覚えるので、楽しいけれど頭の中がワァーーーーーっとなります…(@_@) 鯰肌、別の青江派の刀を見た時にちゃんと認識できるかな??
今回の展示は5月29日まで。あと何回か行ってしっかり鯰肌を目に焼き付けておこうと思ったところで、大般若長光・観世正宗を見に行った話を終わります。


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