■日時  2017年3月12日・29日
■場所  足利市美術館(栃木)
■入館料 1,000円
■交通費 一回目 2,370円(青春18きっぷ)
     二回目 4,654円

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どれだけのファンがこの展示を心待ちにしていたのか。

擬人化された名刀・山姥切国広は「まんばちゃん」の愛称で刀剣乱舞ファンに親しまれており、ルックスもさることながら、ゲームを始める時に一番最初に選ぶプレイヤーの相棒的キャラクター5人に含まれていることから愛着を持っているファンが多いのです。
刀剣乱舞が配信された2015年より、ゲームに登場する刀「実装刀」を見に全国各地にファンが押し掛ける現象は、博物館・美術館の来館者記録を塗り替えたり現地で消費活動をする等の経済効果を生み出してきました。

そして今回はまんばちゃんこと山姥切国広。
個人の方が所有する刀なのでなかなか一般公開されず、最後に公開されたのは20年前だとか。(※すべての個人蔵の刀がなかなか一般公開されないわけではありません)
「まんばちゃん見られないかな」「きっと難しいよね。」

とほぼ諦めの気持ちの最中に発表された公開情報。驚喜に溢れるツイッターが印象的でした。



さて出だしが長くなりましたが、実際の展示はどんなだったか紹介して行きたいと思います。


山姥切国広は2017年3月4日〜4月2日まで、栃木県の足利市美術館で公開されました。
青春18きっぷの期間中だったので一度はJR、もう一回は特急りょうもう号で行ってみました。
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遠征は普段乗ることの無い列車にチャレンジできるのも楽しいね。


美術館は土日の混雑はもちろんのこと、平日も開館前から来館者が並ぶ盛況ぶり。毎日公式ツイッターアカウントより混雑や整理券の配布情況が発信されました。
最初に訪れた3月12日は9時ちょい前頃に美術館に到着。美術館は10時半開館ですが、すでに前日の倍は並んでいるとのこと。
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この日は小笠原信夫氏の講演があることも相俟っての混み様だったんでしょうね。


展示されていた刀はいずれも堀川国広の作品で短刀・脇指・刀の三振。
展示順に感想を書いて行きます。写真撮影不可。

■脇指 銘日州住信濃守國廣作 号 布袋國廣
安土桃山時代 天正8年(1590年) 重要美術品

第一印象は「ふんわり、やわらか」。
やや広めの身幅で、中くらいの互の目を広く焼いています。彫物は表に睡布袋(ねむりほてい)と「夢香梅里多」の文字、裏は布袋の杖。沸が細かくびっしりとついていてキラキラ。そしてフゥッと息を吹きつけた様なふんわり白い匂口。彫られていた布袋の丸み、なめらか文字のせいかとても優しげな雰囲気。裏に彫られている杖は、杖にツタが巻き付いているせいか、姿を変えた俱利伽羅剣のように見えました。
一回目見た時のメモに「水影つよい」と­書いていましたが、二回目は気付きませんでした…水影はあったのかな?
山姥切国広を目的に見に行った筈なのに、予想外に心に響いてきた素敵な刀でした。


■刀 銘九州日向住國廣作 号 山姥切国広
安土桃山時代 天正8年(1590年) 重要文化財

今回のメイン、まんばちゃんですね。
行列に並んでる最中、少し離れた距離から刀身全体を見てみます。そこで目についたのは反りの強さ。2.8cm。(反りは2cmあると結構反っていると見えるかと思います。)刀身真ん中より鋒側で反る先反り。身幅広く、大鋒、鋒の方が張る堂々とした姿。
山姥切国広は南北朝時代に活躍した長船長義作の名刀を写した(お手本、モデルにした)ものです。お手本になった刀の姿は作刀時代なりにどどーんとして大鋒。攻撃的ルックス。(重ねは覚えてない;;)
まんばちゃんを見てみると、姿はお手本のように堂々としていますが、重ねはとても薄く、繊細な印象を受けました。
近くで見てみると更に繊細さを感じます。細かな沸をびっしりまとった、水をすべらせたようツヤのある肌。板目の中にポンポンと混じる小さな杢目。箱がかり、矢筈のように咲いた(裂けた)互の目に飛焼き、足、葉をたくさん交えた華やかな刃文。レースやフリルのような感じですね。帽子は乱れ込み玉を焼き…って、なんか華やかさにスキがなかった。
この"レースやフリル"というのがゲームのまんばちゃんが纏う布の裾を思い起こさせるし、体配に対する繊細な景色のギャップも、ゲームのまんばちゃんの性格を表しているようでファン的にはたまらなかったです。

余談ですが、鎬の低さと飛焼きにへし切り長谷部、鋒­の鋭さに江雪左文字を感じました。



■短刀 銘國廣
製作年不詳
この短刀も薄かったですね。帽子長く返り、棟の一部まで焼きがある­ように見えました。茎寄りの方にあるもやもやは飛焼きなのか湯­走りなのか……そして三振りの中で一番肌が詰んでいるように­見えました。
三振とも共通して重ねが薄く、沸と匂口のふわ­っとしつつも沸の粒がよく見えて、綿雪のよ­うな雰囲気だと感じました。

列に並んでから見るまで1時間半〜2時間程かかります。講演やスタンプラリー等他のイベントと時間を調整しつつ、二度の足利訪問で合計三回見ることができました。良い刀だったので一回だけで諦めたくなかったんだ。並んでよかったです。

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刀を見終わった後はパネルと新規イラストを見に展示室の下の階へ。

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刀剣乱舞を知らないでこの記事を読んでいる方がどれだけいるかわかりませんが…これです、この金髪の子がゲームに登場する山姥切国広です。凛々しかろ?

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次はスタンプラリー。
長林寺
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織姫神社
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「えげつない階段」と噂できいていました、が、各地のスタンプラリーをこなしているファンにとっては多分京都の建勲神社が一番きつかったんではないかな?
歩道橋の手すりが赤いのが印象的。正面の階段よりも脇にあるえんむすび坂の方が楽でした。境内は広く、見晴らしがよかったです。

鑁阿寺(ばんなじ)
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足利学校
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足利学校にはたくさんの押形や資料が展示されていました。刀が好きな人は特に楽しめたと思います。
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ひなたぼっこする審神者たち。訪れたファンが皆楽しそうで見ていたこちらもほっこりした気分になりました。

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ラリーシートと景品。
スタンプは3つ集めればクリア。スタンプラリーのエリアは適度な広さだったので、5箇所すべて回ることができました。

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スタンプラリーの途中で気になる建物があったので覗いてみました。

松村記念館
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二階建てだけど蔵や地下室、あと屋根裏のようなスペースもあったような。意外と広かった記憶。古い道具や本がたくさん飾られてあったのが印象的でした。

中には 8代目肥前忠吉の刀も。
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有形文化財に登録されている古民家。館内は一般公開されている他にイベントや撮影、ゲストハウスとして多目的に利用されているようです。詳しくはHPで。
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次はお楽しみ、ごはんについて。

美術館周辺のたくさんのお店が協力されていたようで、「素通り禁止♡」のロゴのもと地元の名物や展示にちなんだ商品を提供していました。

まずは足利市美術館の近く、あしかが逸品堂さんの国広棒
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焼きそばを揚げたカリカリのスナック。


それから織姫神社にある蕎麦屋さん。
注文したのは季節の蕎麦「ヨモギ」と身欠き鰊。お蕎麦と身欠き鰊の組合せ大好き(っ'ヮ'c)♡
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ここのお蕎麦は更科蕎麦とのこと。更科蕎麦、名前だけは聞いたことがあったけど初めて食べました。コシのある食感。大根のツマのような透明感があり、ヨモギの緑が映えて春らしさを感じました。
#とうらぶ男子さんのこの記事を読んだ時からずっと気になっていたお店だったので今回行けて良かったです(*^^*)


鑁阿寺のそばではじゃがいも入り焼きそばと足利シュウマイを食べました。
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シュウマイに箸を入れてみると……真っ白、具がない!?
足利シュウマイは片栗粉と玉ねぎでできていて、ソースをかけて食べるのがスタンダードだそう。プリプリの食感!
焼きそばはじゃがいもが入っているので食べごたえあり。濃いめのソースが好みでした。

(足利って濃い味文化なの??)


もう二軒。こちらは美術館からは結構離れたところにあります。自転車とタクシーで行ってきました。

昭和カフェ
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美蘭(深入り珈琲)、巴里(ブレンド珈琲)、倫敦(アールグレイ)、京都(抹茶)………というように飲物のメニューには都市の名前がついているのがかわいい。私が注文したのは茂須甲モスクワ(アイス珈琲)とチョコケーキ。
レトロでアットホームな雰囲気が好きな方向けのお店。


スウィーツ&レストラン アンティーク
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洋館のようなコテージのようなかんじ。いい雰囲気。
ウィンナコーヒーはチェーン店には無いことが多いのでつい注文しちゃう。クリームがフワフワで幸せになれます(笑)
朝早く足利にきて、スタンプラリーをして、講演を聞いて、刀を見て……締めのビーフシチュー、満足感がありました。



おみやげもたくさん買って帰りました。
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※刀剣クッキーは頂き物

甘味にコーヒーにソース。これで焼きそばを作るのが楽しみ!

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早くに展示に訪れた人たちが皆「よかった!」「楽しかった!」と言っていました。評判がいい。実際に訪れてみたところ私もそう感じましたし、それが何故なのかもすぐにわかりました。
そう、「神対応」。
それは聞きしに勝るもので、朝早くから夜遅くまで一日中の来館者対応、街全体の連携・歓迎ムード等、企画に携わった方々の力の入れ具合がすごく伝わってくるものでした。


ニュースもこんなにたくさん

足利の「山姥切国広」展かつてない盛況 もてなし徹底、「神対応」好評 - 産経ニュース
http://www.sankei.com/smp/region/news/170321/rgn1703210041-s1.html

「念願の山姥切国広に感激」 オープン前に1000人 足利市立美術館 - 産経ニュース http://www.sankei.com/life/news/170305/lif1703050006-n1.html

講演会、コスプレ…官民でイベント準備 「山姥切」特別展に沸く足利 栃木 - 産経ニュース http://www.sankei.com/region/news/170123/rgn1701230016-n1.html

名刀「山姥切」展 経済効果4億円 栃木・足利市立美術館の入館者が過去最多3万7820人 - 産経ニュース http://www.sankei.com/life/news/170406/lif1704060024-n1.html


(ちょっと上から目線の感想かもしれませんが)訪れたファンのおそらく半数程度は勤め人なので、サービスの内容や金額、提供する労力等々を理解しているんですよね。
そんな人たちが満足して「ありがとう」と言う。刀剣乱舞のスタートから各地の展示を見てきましたが、これは大変なことだと思ったのと同時に、単にコラボを誘致しただけではこんな成功にはらなかったろうとも感じました。

暖かく迎えてくれた足利の人たちに、改めてありがとうございますを伝えたいです。



次はどんなコラボ展示に出会えるのか。
毎回楽しませてもらっている、趣向を凝らした各地の企画。高まる今後への期待。
でも主催側とファン側はWin-Winなのかな。
そうであればいいけれど、主催側もやってよかったと思えるくらいお金は、感謝の声は届いているのだろうか。
そんな二つの気持ち抱えつつ、山姥切国広を見に行った話を終わります。


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