■日時  2017年7月17日
■場所  一関市博物館(岩手)
■入館料 300円
■交通費 980円(一ノ関駅⇔厳美溪 往復)


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夏の遠征ラストは岩手は一ノ関での展示。


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一関駅からバスで約20分のところに一関市博物館はあります。
舞草刀を見にいつか来たいと思っていた場所。ゲーム実装刀を見るために訪れることになろうとは…いやしかし東北での展示は嬉しい限りです。

今回の展示「あらたな国民のたから‐文化庁購入文化財団展‐」は東日本大震災の復興支援企画として文化庁とと­もに開催され、文化庁が近年購入した作品・資料を中心に­、国宝3件、重文22件の合計40件を展示しています。うち刀剣は10振り。四分の一を占めている上に「国宝3件」はすべて刀剣でした!

実はわたくし、この遠征の直前にカメラを新調しまして。約10年ぶりの買い替えは機能の進化が多くて驚きですね。張り切って写真を撮りましたので、写真多めでお送りしたいと思います!クリックで写真が大きくなるので是非。
服や指が映り込んでいるけど気にしないでね(市博さんのHPに「展示物を写真する場合はお尋ねください」と書いてあったので、もしかして…と思ったら!!簡単な申請手続きをするだけで写真撮影OKでした*^^*)




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太刀 銘安綱
平安時代・12世紀 重要文化財

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私の中の安綱の基準が童子切なせいか、それと比較するとやや細身だなあという印象がありました(角度のせいかな)。腰反り高く、鋒にゆくにつれて少しだけ細身になる踏ん張りつく姿。そして小鋒。文章だけだと古雅な姿、と思いたいところですが、京物にはないような力強さ・豪気さを感じます。かっこいい!!

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生ぶ茎らしいです。綱の字がヘタかわいい
刃文は小乱れ基調で小互の目混じる、物打ちの方は直刃。小足、葉しきりに入る。
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大肌で肌立っています。
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映りもたくさん。
安綱にしては匂口がはっきりしてると思いました。



太刀 銘 久国
鎌倉時代・13世紀 国宝

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国宝の久国…これはもしかしなくても…久国ロングソード!!
トーハクで1回、ふくやま美術館でも1回見たことがあります。
展示の高さ・角度によって姿の印象が結構変わるのかしら??というのを異なる3カ所で見て感じました。
しかし相変わらず長いよ80.4cm。展示刀剣の中で一番尺があります。でもちっとも圧迫感を感じないスラリ優美な姿。安綱と久国、古い刀同士なのにこうも趣が違うのがたまらんですね!
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茎の歪な反り具合については過去の記事で詳しく書いているのでよければどうぞ。

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小板目詰んだ肌。
映りがあることに今回でやっと気がつけました。



刀 金象嵌銘正宗本阿(花押) 本多中務所持
名物中務正宗
鎌倉時代・14世紀 国宝

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正…宗……?
正宗にしては体配が南北朝っぽい、やや時代が下るようだなと思いました。やや身幅広めで中鋒伸びる。大磨上げ。
この姿を見て、私は反りが浅く感じたのですが、キャプションには「反り深い」の表記。
参考に他の解説も見てみれば「反り浅い」とのこと。うーん、こんなわかりやすそうなところまで感覚の違いが出るなんて…惑わされます。
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刃文はのたれ主体に小互の目。正宗だから刃中の働きがたくさんあると思ったんですけど、いまいち見つけられませんでした。
匂深いのが印象的。地沸厚くつく。写真だとちょっとわかりづらいですが、帽子はのたれ込んだ焼き詰め。
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やや肌立った地鉄は、肌目が整っていて好き。



太刀 銘 則重
鎌倉時代・14世紀 重要文化財

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身幅尋常、中反り、磨上げ、棒樋を丸留。
姿も良いですが則重といえば肌!この太刀もとても見応えのある肌をしていました。
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松皮肌の描く地景。見る人によって例えが異なりそうな風景ですね。
匂口に散らばるポツポツはムラ沸…でいいのかしら?
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鋒のところにながーい金筋!帽子は乱れ込んで掃き掛け。
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見えるかな…刃縁と刃取りのあいだ辺りに長いスジ。
なんなのか気になったので学芸員さんに尋ねたところ、おそらく拭っているときについた傷(ヒケもしくはヒケ傷という)ではないかとのことでした。
え、ヒケ?こんなに長いの初めて見た…なんて痛ましい。
日本刀鑑賞の際は手を当てる布を動かしてはいけないと教わります……扱いを間違うとこういうことになるんですね。勉強になります。
(研師さんからは、こんなに長いヒケは鞘ヒケの可能性も高いとのご指摘を受けました)



太刀 銘正恒
平安時代・12世紀 国宝

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正恒は二振り展示していて、こちらの国宝の正恒は豪気な姿。
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うぶなかご
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直刃調に小互の目小丁子、足、葉たくさん。
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映りが見えます。ツルッと詰んだ肌をしていました。



太刀 銘正恒
平安時代・12世紀 重要文化財

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「恒」の字をよく見てみると、リッシンベンのちょんちょんが横一直線になっていますね。

正恒の古い作は、リッシンベンのちょんちょんが横一直線、または三画目に斜めにくっついており(ウナギのヒレのような)、作風も優美と言われています。
対して新しい作は、ちょんちょんが離れていて作風は豪壮となるようです。
正恒を名乗る刀工は複数おりますが、古備前正恒だけを見ても銘や作風の違いがあるので、数人いたのかも?という説があります。

銘の通り、先ほどの正恒と比べてこの正恒は優美な姿。腰反り高く小鋒、踏ん張りつく。
(写真だと姿にあまり差がないように見えますが、実際に見るとかなり印象が異なります。)


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直刃調……?に小乱れ、小足、葉入る。
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帽子の乱れ具合好き。鋒に金筋が見えます。
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ハバキ付近に地斑(じふ)映りがくっきり!
映りにまじってぽつっと見えるのは湯走り?
※とてもわかりやすく撮れているので改めて説明すると、映りとは刃文の上にある暗い部分の、更に上にある白い部分を指します。



太刀 銘包永
鎌倉時代・13世紀 重要文化財

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家康より拝領した感状つき。
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やや身幅がある力強い姿。刃文は直刃調に小乱れ。
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磨上げられているけれど銘が割合残っているのが包永。茎の上の方に銘を刻んでいたとか。この太刀もそうですね。鑢目は茎尻に向けて左右に下がる鷹ノ羽。

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帽子に沸の筋

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澄鉄っぽい黒い部分と、棟のとこにあるでろでろした模様が気になりました。大和物にも澄鉄ってあるの?



刀 銘繁慶
桃山時代・17世紀 重要文化財

アーーッとここで全体写真の撮り忘れ!
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身幅があり大鋒ややのびて、鋒まで痩せない力強い姿をしていました。
(キャプションでは中鋒とのこと。確かに、身幅があったので中鋒と言われたら中鋒のような気もします)刃縁の沸が強く、金筋もよく見えます。
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全体写真を撮り忘れた理由はたぶんこれ。刀身全体がキャンバスになった見事な地景! 必見。



刀 銘於南紀重国造之
江戸時代・17世紀 重要文化財

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中反りで中鋒のびる、豪壮な姿。
刃文はのたれ基調に小互の目混じる。匂深い
肌がきめ細かく整っています。
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短刀 銘吉光 名物 博多藤四郎
鎌倉時代・13世紀 重要文化財

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一見して、いつもの藤四郎となんか違うと感じました。
まず刃文。直刃調だけどちょっとゆるゆるっとしていてます。
ハバキのとこもヨレて…少し乱れてもこもこ。かわいい!!!!
刃文を縁取るように、匂口が明るくぴしっと締まっています。展示刀剣でこのようになっているのは博多藤四郎だけなので見てみてね。
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そして肌。藤四郎の短刀は肌立っているというイメージがまったくなかったのでちょっと驚きました。
全体的に詰んでいるけど鋒の方特に板、杢がよく見えます。
(もしかして後藤がこんな肌だったかな〜〜という記憶がうっすら…あれは肌でなく地斑か)
帽子は小丸だけどこれもよく見る吉光と比べるとちょっと尖っているような…やや掃いているような…
『いつもと違う吉光』を感じられた一振りでした。よかった!

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一関博物館の何が素晴らしかったかって、照明は勿論、ガラスケースと刀の距離が近かったことですね。ガラスケース越しでもこんなに見やすいなんて知らなかった!持っていた単眼鏡もいつもより使用頻度が少なかったです。
(よく行くトーハクでまぁこんなもんかと思っていたのですが、一関市博を見た後だと全然違いますね。遠い!そして高い!)
展示刀剣10振りは個性がはっきりしており、刀初心者にもわかりやすく飽きのこないラインナップだったのではないかと思います。贔屓目なしにオススメの展示。

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一関市博物館へのアクセスはJR一ノ関駅からはバス・タクシ­ー・車で。
バスの場合は西口バスターミナルの9番乗り場から。最寄りの厳美渓(げんびけい)までは20分程で着きます。

バス時刻表 
平日土日祝

平泉駅からはこちら
岩手交通HP


バス停を降りてすぐのサハラガラスパークさん。
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わっ!田舎にありがちな昭和っぽい建物ーーーーー!!!
なんともインパクトのある外観…しかし館内は意外と普通で、ガラス製品を扱うお店でした。
ガラス万年筆やランプ、グラス等々たくさんあり楽しめます。ガラス製品が好きな方はぜひ。
 

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景勝地・厳美渓。こちらもバス停を降りてすぐ。
一目見て今回は博物館を訪れる時間しか取っていなかったのが失敗だったな〜と思いました。
カメラの電池が切れてしまったのと時間が無かったので一枚だけ橋の上から撮影。
舞草刀を見るためにまた一関に来るので、その際は散策したいです^^


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サハラガラスパーク内のカフェにて
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レアなかもめのたまごを見つけて大感動。
左は季節限定のメロン味で青森でも買うことができるけど、真ん中のは花巻周辺、右のは一ノ関周辺のみ。(もしくは通販) 迷わず購入♡



富山と岩手、3つの展示で見た刀は約80振。
刀を見始めて4ヶ月目頃にも、3日で同じくらいの本数を見たことがありました。その頃は今よりも見れないながらも、たくさんハテナを散らしながらとにかく食らいついて見ていたと思います。
今は多少見ることはできるようになったけれど、好みがはっきりでてきたので…それも悪いとは思わないけれど、見る能力が違ったら、好みでない刀からももっと魅力を感じ取ることができるんだろうな〜〜と。要するにまだ子供舌なんですよね。

まぁそれはおいおいということで。 おわり




一関市博物館開館20周年 記念特別展
新たな国民の宝 ―文化庁購入文化財展―

場所:一関市博物館
会期:2017年7月15日(土)~8日20日(日)
8/11〜8/15は復興支援のため入館無料
公式HP
文化庁のページ
※この特別展の期間中は舞草刀の展示はありません


夏の刀剣遠征2017
其の一 物吉貞宗と五月雨郷を見に行った話 〜天下人・徳川家康と尾張徳川家の至宝〜
其の二 国永の太刀を見に行った話 〜日本刀物語〜
其の三 博多藤四郎を見に行った話 〜あらたな国民のたから‐文化庁購入文化財団展‐~