■日時 2015年7月24日、8月7日
■場所 東京国立博物館(東京都・上野)
■企画 ジャンル別展示「刀」
■入館料 0円(年パス)
■交通費 388円(新宿⇔上野/往復)
三日月から展示が切り替わり早一ヶ月…
毎日たくさんの人に写真を撮られていたんでしょうね…おじいちゃんお゛疲゛れ゛様゛で゛し゛た゛ヽ(;▽;)ノ というわけで三日月から厚くんにバトンタッチ。
- 1 厚藤四郎、読み方が変わるらしい。
- 1.1 太刀 銘正恒 平安時代・12世紀 国宝
- 1.2 太刀 銘豊後国行平作 平安〜鎌倉時代・12〜13世紀 重要文化財
- 1.3 短刀 銘吉光(名物 厚藤四郎) 鎌倉時代・13世紀 国宝
- 1.4 太刀 銘来源国俊作 元応三年正月日 鎌倉時代・1321年
- 1.5 太刀 銘吉房(号 岡田切) 鎌倉時代・13世紀 国宝
- 1.6 小太刀 銘長光(名物 蜂屋長光) 鎌倉時代・13世紀 重要文化財
- 1.7 短刀 銘国光 鎌倉時代・13世紀 重要文化財
- 1.8 刀 無銘貞宗(名物 切刃貞宗) 南北朝時代・14世紀 重要文化財
- 1.9 脇差 銘奉富士本宮源式部烝信国 一期一腰応永卅二二年二月 室町時代・1427年 重要文化財
- 1.10 刀 銘相州住綱広作 室町時代・16世紀
- 1.11 刀 銘長曽袮虎徹入道興里 金象嵌銘 四胴 山野加飢右衛門六十八歳ニテ截断 永久(花押) 于時寛文五年二月廿五日 江戸時代・17世紀
- 1.12 刀 銘石堂運寿是一作 嘉永六年八月日 江戸時代・1853年
厚藤四郎、読み方が変わるらしい。
今回展示されているの12振の一覧
- 太刀 古備前正恒
- 太刀 豊後国行平
- 短刀 厚藤四郎
- 太刀 来国俊
- 太刀 岡田切
- 小太刀 蜂屋長光
- 短刀 相州国光
- 刀 切刃貞宗
- 脇差 式部丞信国(撮影禁止)
- 刀 相州綱広
- 刀 長曽袮虎徹
- 刀 石堂運寿是一
展示室全体はこんな配置。
では早速上から順に紹介します!
太刀 銘正恒 平安時代・12世紀 国宝
最初は古備前を代表する刀工・正恒の太刀。※備中青江派の正恒とは別人
刀剣博物館にもこの刀工の太刀があったから覚えてる!
スラッとしているけど力強い。
太刀 銘豊後国行平作 平安〜鎌倉時代・12〜13世紀 重要文化財
豊後国行平という刀工は、湾刀に彫刻を施した最古の刀工だそう。この太刀にも梵字と小さい人?みたいなものが彫られています。正恒の太刀と比べて全体的にくすんだ色。
平安刀はこの二振のみ。やはり気品がありますねー!
短刀 銘吉光(名物 厚藤四郎) 鎌倉時代・13世紀 国宝
我らが厚くん。
展示早々にネット上では名前の読みについて言われていたけど、ついにゲームの方もアツシに揃えてしまいましたね…「史実とは異なる場合が〜〜」という断りがあるなら変えなくても良かったのでは?と私は思うんですけど。
それはさておき。厚藤四郎は「鎧通し」という用途の短刀。切り合いよりも取っ組み合い時に首を取ったり、鎧の隙間から指すのが得意なようです。調べる前は鎧通し=鎧を貫通すると思っていたので、普通の短刀よりも大きめで太い、重量感がありそうなものを想像していました。実際に見てみると意外と短くてシュッとしていてビックリ。茎も細い!
わかりづらい写真でスミマセンが、厚さに関して実物は一目瞭然といったところ。
鋒の方もしくは下から見上げるようにすると見やすいかも。
太刀 銘来源国俊作 元応三年正月日 鎌倉時代・1321年
来派の刀はなんとなく小洒落て見えるのはなぜかしら?
前回の展示では”国俊”と銘を入れる”二字国俊”の太刀が展示されていましたが、今回は”来国俊”と銘を入れる方の国俊の太刀です。太刀だけど同時に展示されている相州綱広や長曽祢虎徹と比べて小柄、細いです。
太刀 銘吉房(号 岡田切) 鎌倉時代・13世紀 国宝
お客さんの足を一番引き止めていたのがこの岡田切。身幅が広く、鋒までしっかりした太さがあって力強い見た目。そして誰が見てもわかりやく派手な丁字乱れの刃紋。
華やかな刃紋で有名な一文字派ですが、その中でも福岡一文字派が一番華やかで福岡→吉岡→片山→岩戸の順に地味になっていくそうな。この岡田切も福岡一文字。
華やかと言えば見てきた刀の中では長船光忠をはじめとする長船派を思い出すんですけど、そちらと比べてもっと激しく沸き立つような印象を受けました。
小太刀 銘長光(名物 蜂屋長光) 鎌倉時代・13世紀 重要文化財
脇差しサイズでも太刀。小太刀。こちらも華やかな刃紋。
同じようなシルエットだけど長さのある岡田切が隣にあるせいか、より身幅が広く見えます。樋が太く、茎が短め。岡田切と蜂屋長光か並ぶこの一角だけなんか主張してる感じ(笑)
短刀 銘国光 鎌倉時代・13世紀 重要文化財
今回展示されているもう1振の短刀。厚くんと比べると穏やかな雰囲気。
相州国光…新藤五国光は相州伝の開祖なのですが、その血筋は天下五剣が一振・鬼丸国綱を鍛えた刀工・粟田口国綱を父にもつらしいという…そんな繋がりがあるなんて、国光の刀が刀剣乱舞に実装されたらどんな相関図になるのかしら?
刀 無銘貞宗(名物 切刃貞宗) 南北朝時代・14世紀 重要文化財
見る人が「スパッと切れそう」と言っていた大きい鋒。
前回展示されていた亀甲貞宗が中性的ですっごく美しくて、それから貞宗の刀が気になっていたので今回も見れて嬉しいです٩( ‘ω’ )و
実はこの記事の中で一番紹介したかったのが切刃貞宗。
この切刃貞宗、予備知識が無いと見落としてしまう鑑賞ポイントがあります。
通常刀は差表を前にして展示していることが多いのですが、写真の通り、切刃貞宗は裏面を向けて展示してあります。(打刀は腰に刺した状態で刃を上にして鋒が右を向く面が表。太刀は佩いた状態;棟が上の時に鋒が右を向く面が表。)
説明書きには「差し表は鎬造り、裏は切刃造り」
と書いてありますが、ほとんどのお客さんは正面から見るだけで終わり!表は素通りΣ╰(°ㅂ° )╯
でも普通は「鎬造り?切刃造り?なんのこっちゃ??」「そもそも造りってなに?」ですよね。なので造りについて簡単に説明〜〜
日本刀の多くは鎬造り(しのぎづくり)と呼ばれる造りになっていて、
鎬筋(しのぎすじ)と呼ばれる線が棟の側にあります。
反対に、鎬筋が刃の側にあるのが切刃造り(きりはづくり)。
切刃造りは上古時代等の直刀に多い造りです。現代では伊勢神宮の儀式で使うようなのが直刀なのかな。
輪切りにするとこんなシルエット。 *印が鎬の位置。
で、鎬造りと切刃造りが合わさると鎬の位置はこうなります。
左側が切刃造り、右側が鎬造り。
では切刃貞宗の表側を見てみましょう。
図解するとこんなかんじ。
ね、違うでしょ!
日本刀ってこんな技術もあるんですね!あ〜〜なんという驚き
これからトーハク行くよって人は両面見てみてね!!
私も造りのことをよく知らなかったので、1回目に行ったときは両面から見てみたものの、何がどう違うのかサッパリ。しかしちゃんと解った時の感動たるや。
そしてこのように片側だけが切刃造りになっているのにはまた別の用語があって、片切刃造りと呼ぶんですって。
はい、以上が切刃貞宗の紹介でした!
裏と表で表情が違う刀…擬人化するなら二重人格キャラってどうでしょう
キャラ被りしてないしオイシイと思うんですけど??????
運営さん切刃貞宗の実装待ってます!亀甲さんもヨロシクたのむよ!(°∀°)
脇差 銘奉富士本宮源式部烝信国 一期一腰応永卅二二年二月 室町時代・1427年 重要文化財
富士山のお膝元浅間大社の宝剣。
薙刀直しのような太い刃をもっていて菖蒲造りだったような気が…(記憶曖昧)
先の尖った太めの樋があり、そこに「富 士 浅 間 大 菩 薩」と大きく文字が彫られています。
もやもやした湯気のような刃紋。
いち兄以外にも一期と名前のつく刀があるんですね!(このイチゴヒトコシの他に来国行・国俊の合作のイチゴダイイチという刀もあります)
あと写真を見つけました〜コチラ!
刀 銘相州住綱広作 室町時代・16世紀
刃が厚くて身幅も広く重そう。
鋒は中くらいで鋭い。
刀 銘長曽袮虎徹入道興里 金象嵌銘 四胴 山野加飢右衛門六十八歳ニテ截断 永久(花押) 于時寛文五年二月廿五日 江戸時代・17世紀
虎徹(ほんもの)。すごく反りが浅いですね。
wiki先生で調べてみると、刀工虎徹はもともと甲冑師で、50歳以降に刀工にジョブチェンジしたそうな。
日本刀の横綱といえば「東の大包平・西の童子切安綱」ですが、この虎徹は「東の虎徹・西の助広(もしくは堀川国広)」として新刀の横綱と言われているんですって。
助広の刀は三日月宗近を見に行った話にて写真を載せてます。
切れ味良くて、強度も品格も高く〜って、エラい褒められっぷり。
銘が見えるかな?
金象嵌の銘は試し切りの時を表しているとのこと。(←こっちは写真撮れなかった><)
余談だけど…虎徹の幼少期に関ヶ原の合戦があったっていう時代感!
刀 銘石堂運寿是一作 嘉永六年八月日 江戸時代・1853年
身幅があり豪壮。
虎徹と並んで新刀なんですけど、こちらの方が反りがあって好きかな。
ふわっとした刃紋がきれいです。
はぁ〜〜〜〜書き切った!こんなに長くなるとは思わなかったんだぞ…!
刀が多いと書きたいことも多くなりますね。
本当は「トーハクでの写真の取り方のコツ」や「一人エグザイル」な話も書きたかったんですけど、それを書いてるといつまでたっても記事が完成しないのでひとまずここまでということで。
この展示は9月23日までであと1ヶ月程あります。
ぜひぜひ厚くんの厚みと切刃貞宗の造りを見てみてくださいね♪ おわり