出会い直す刀たち──縁のその先に、また立つ|京都国立博物館「縁を結ぶかたな」

展覧会概要

展覧会名:特集展示「縁を結ぶかたな—国宝・重要文化財で学ぶ刀剣鑑賞—」
会期:2026年2月4日~3月22日
会場:京都国立博物館(京都)
展覧会案内ページ:https://www.kyohaku.go.jp/jp/exhibitions/feature/b/2026_sword/
入館料:700円
備考:写真撮影不可

訪問日:2026年3月4日

再度見たかった刀剣たち

今回の展覧会に伺った理由はまさしく、八坂神社所蔵の豊後国行平を見るため!

この刀を最後に見たのはおそらく7年前。同じく京都国立博物館で開催された「京のかたな展」という展覧会にて。その後も僅かに展示機会があったのですが、コロナ禍だったり都合がつかなかったりして見ることが叶わず、今度こそ!という思いで京都を訪れました。

特に目に留まった作品

  • 国宝 太刀 銘 正恒 文化庁
    忄の一画目・二画目が一になっている正恒。映りと暗帯部のコントラストがはっきりしている。
  • 重文 太刀 銘 波平行安(号笹貫)
    笹貫の焼出しには水影のような斜めの線があります。結局これは水影なのかなんなのか?調べてみたところ、「焼出移」というのを知りました。しかし見比べてみると、焼出映りではなさそう。ということで未だ明確な答えが出ないままですが、今回もしっかりとそれがあることを確認してきました。
    そしてやはり肌が綺麗。刀剣から放たれる静けさがとても良かったです。
出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/
  • 国宝 太刀 銘 安家
    伯耆国の刀工。反り強く、丁子のような山がたくさん。地斑がよく見えました。
出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/)
  • 刀 銘 吉行(坂本龍馬所用)
    直刀かと思うくらい真っ直ぐですよね。
    横手から物打ちにかけて浮かび上がる拳形丁子。参考画像のように、拳形丁子は丁子が束になって握りこぶしのように見える刃文。ところが吉行のは、拳の指の山が見えないくらい薄く、ちょっと互の目に似ているような輪郭の大きい山だったんですよね。疑問に思いつつ帰ったのですが、澤田先生のポストで解決しました!
拳形丁子参考画像:刀 銘 表 濱部眠龍子壽實
https://twitter.com/gouyosihiro/status/2032986989788893440
  • 重文 太刀 銘 利恒
    正恒の流れを汲む。銘字ギリギリまで擦り上げているのに長さがあります。でかい、つよそう、かっこいい。
出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/
  • 重文 刀 折返銘 備前助村
    映りがよく見えました。金筋、砂流し、足・葉多く、荒沸のこぼれるような表現もきれいで好きでした。
出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/
  • 重文 刀 金象嵌銘 本多美濃守所持/義弘本阿(花押)(名物桑名江)
    こんなにかっこよかったっけ…?今回は姿が良いと感じました。
    物打ちよりも下のあたりにガッツリと金筋。肉眼でもわかるくらい、ギラギラ系ではないけれどしっかりとした沸の輝き。
出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/
  • 重文 刀 金象嵌銘 永禄三年五月十九日義元討捕刻彼所持刀/織田尾張守信長(名物義元左文字) 京都・建勲神社
    宗三左文字を初めてみた時に抱いた「絶対⚫︎ろすマン」という印象はだいぶ薄れましたが、横に並んでいる桑名江と比較すると、やはり姿から来る雰囲気の違いを感じます。宗三の方がやや力強く、桑名の方が優美かな。
    桑名も宗三も肌が詰んでいるのですが、宗三がより美しく詰んでいるように見えました。
  • 重文 太刀 銘 備前国則宗(名物二ツ銘則宗)京都・愛宕神社
    「騒がしい」。この表現は今までしたことがないかも。パッと見た時の今回の感想がこれでした。
    板目肌で、全体的に肌立ちが目立ち、展示室に入った時にそれがやけに目立って見えました。
    特に茎上あたりは、水をぶちまけたような大きな模様が現れていました。
    腰反りが強いですね。
  • 重文 太刀 銘 豊後国行平作 京都・八坂神社
    太刀の分類ですが、隣に展示されていた一竿子忠綱の大太刀と同じくらい長さがありそうでした。
    石切丸が大太刀なので、これもそう呼ばれてもおかしくないかも。
    焼出し付近の刃中のうねり(金筋砂流し?)が、躍動感があって特に好き。
    刃文自体は直刃に小乱ですが、匂口の表現……そのあたりの刃中の働きが盛んでとても良いです。
    茎より上の棟マチのところに、小さい俱利伽羅龍の彫り物。
  • 重文 刀 銘 山城国西陣住人埋忠明寿(花押)/慶長三年八月日他江不可渡之
    体を横に動かすと、沸のキラキラも一緒に動く……照明はこれを見せたかったのかな?これがとても綺麗でした。花形のハバキもかわいい。梵字と火炎不動が櫃(ひつ)の中に彫られています。
出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/

「この展示では、京都国立博物館の収蔵する国宝・重要文化財の名品を教材として、普段の生活では身近に感じることのできない「刀剣」分野の隠された見所を「形」「銘」「刃文(はもん)」「刀身彫刻」の4つのテーマに沿ってご紹介します。」との紹介文でしたが、そういえば、そういうことを一切気にせず見ていたことに後から気づきました。いつもは学びを得ようという気持ちや、どこに注目してほしいかを探るべく、テーマに沿って見るのですが、そういうのを気にしなくてもどれもが名品で、見どころがよく見える展示だったのだと思います。

展示環境について

照明の明るさが印象に残りました。キョーハクは明るくよく見えます。
前日に訪れた明治神宮ミュージアムは、絵画や衣装と同室での刀剣展示だったせいかかなり暗め。どこか蝋燭の灯りで刀を見るような雰囲気もあり、対比を感じました。
刀剣展示の際の照明については様々な好みを聞きますが、個人的にはキョーハクの明るさは好きですね。刃文はもちろん、刃中の働きや鉄の濃淡がよく見えて、目がラク。
人によっては「少し眩しい」と感じるかもしれませんが、これは良し悪しではなく、好みや展示方針の違いですね。

まとめ

改めて同じ刀を幾度も見ることの良さを感じました。

自分のコンディションや、その時の展示環境──照明や展示ケースとの距離によって、印象が変わります。前回は気づかなかった魅力に気づくこともあります。

久しぶりに見て、以前見たときとの印象の違いを自分自身で感じられたのも今回の収穫でした。

こういう経験があるからこそ、同じ刀でも何度も見たくなるのだと思います。

そういえば展覧会のタイトルの「縁を結ぶかたな」と、展覧会説明の「文化財や歴史上の事物との出会いには様々な入口があります」という部分。私と同じ出会い方──刀剣乱舞を通して──の方はお気付きかと思いますが、ゲームに登場するキョーハク所蔵の刀剣、そして
展示刀剣のいくつかは、キャラクターとして出会ったのが最初でした。初鍛刀の秋田藤四郎に「またね」と心の中でつぶやいて帰路に着くのでした。

↓2024年に訪れたキョーハクの展示。今回の展示刀剣と一部被っているものもありますので、興味があればご覧ください。

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