■日時 2015年10月18日、11月1日、12月11日、12日
■場所 東京国立博物館(東京都・上野)
■企画 武士の装い
■入館料  0円(年パス)
■交通費 388円(新宿⇔上野/往復)

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今回展示されていたのは以下の刀。1Fも2Fも見所満載な展示でした!

1F
太刀 古備前友成
刀  粟田口久国
短刀 岡山藤四郎(?)
太刀 手掻包永
太刀 長船長光
太刀 備前雲生
刀  籠手切正宗
短刀 寺沢貞宗
太刀 長船長義
太刀 長船秀光
短刀 小野繁慶
刀  肥前忠吉

2F
太刀 獅子王
太刀 福岡一文字助真
脇指 石田貞宗



いつもは1Fにとうらぶ関係の刀がありますが今回は2F。ということで2Fから紹介していきます!

2F展示室

そういえば2F展示室の写真を載せるのはじめてだったね…


太刀 大和物 無銘 号 獅子王
平安時代・12世紀 重要文化財
獅子王2
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同じ平安刀でも友成や正恒はもっと力強いイメージだったのに対し、獅子王ちゃんは見た瞬間「華奢だな!」と思いました。茎のとこでカクっと曲がっていて、腰反り高く小鋒。薄いです。
展示の角度と照明で幅元まで細く見えるけど、実際は常幅(普通の幅のこと)なのかしら??それを加味してもやっぱり華奢かな〜。ゲームの獅子王ちゃんが細いのも納得…
黒漆太刀拵
「黒漆太刀拵も恰好いいだろ!」
鎌倉時代の作。シンプルで美しい。


太刀 福岡一文字助真 銘 助真
鎌倉時代・13世紀 国宝
福岡一文字助真1
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沃懸地葵紋蒔絵螺鈿打刀
カッコイイ〜〜!丁字に互目混じりかな?
拵は打刀拵ですね。


脇指 相州貞宗 無銘 号 石田貞宗
南北朝時代・14世紀 重要文化財
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石田三成が所持していた小さい脇指。
おや……この子、誰かに似ていないだろうか。
そう、物吉貞宗!画像
彫物も物吉と同じく上から梵字、蓮、爪(?)、素剣。でもこちらのほうが浅くサラっと彫られてるかんじ。
「彫りが浅いこともまた運命の分かれ目だったのか?」
一緒に見に行った友人のこの言葉にハッとさせられました。
同じような彫物を施された二振の小脇指。何が明暗を分けたのか、一方は敗軍の将の愛刀、もう一方は天下人の縁起物になったわけだ…
これは回想要素になったりはしないかしら?
ということで実装の可能性を期待しています。



ここからは1Fの展示。
1F展示室


太刀 古備前友成 銘 古備前友成
平安時代・11〜12世紀 国宝
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鶯丸の兄弟刀。
全体的にやや細身。美しいバランス。いい。


刀 粟田口久国 額銘 久国
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今回の展示物の中で一番のお気に入り!
幅元はしっかり、鋒にゆくにつれて絶妙に細くなる太刀姿。そして美しい直刃…好き♡
額銘もしっかり見えました。
自分の中では亀甲貞宗、五月雨郷と同じくくりになっているんですけど、こういう刀を「鎬が高い」というのかしら?


短刀 粟田口吉光 銘 吉光
鎌倉時代・13世紀
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この子五虎退と似てる!五虎退の写真はこちら
護摩箸の先端に擦ったような映り?が見えます。


太刀 手掻包永 銘 包永
鎌倉時代・13世紀 重要文化財
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燭台切光忠と一緒に展示されていた児手柏の兄弟刀。


太刀 長船長光 銘 長光
鎌倉時代・13世紀 国宝
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でたー派手なヤツ。
丁字に互の目混じりの刃文。
この展示位置、以前に展示されていたのは長船光忠と福岡一文字の岡田切。派手ゾーンかな


太刀 備前雲生 銘 雲生
重要文化財
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ぎゅんっと大きく反っているのが印象的でした。


刀 伝相州正宗 名物籠手切正宗
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第一印象「正宗ってこんなだっけ?」
そもそも大した本数を見ていないんですけど、なんとなくそう思いました。
鋒大きく、鎬地全体に太めの樋がズバッと掻かれているダイナミックで激しい姿。強そうだな。

しかしこの刀、正宗でない可能性があるらしい…………え、マジで?
詳しくは最後に。


短刀 相州貞宗 名物 寺沢貞宗
鎌倉時代・14世紀 国宝
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身幅広めののたれ刃。素剣と爪の彫物。短い茎がかわいい。白と黒のコントラストがはっきりしていてキレイですよね!
しかしこれ「貞宗にしてはキラキラしている」とのこと。確かに貞宗はもうちょっと鈍い色をした黒ですよね。でも地肌を見る限りよく詰んでいて貞宗らしさがあるんだってさ。へぇ〜!


太刀 長船長義 銘備前国長船住長義
南北朝時代・14世紀
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長船長義………本歌山姥切を打った刀工ですね。
大きく中反り、幅元から鋒までしっかり太く大鋒。肌立った板目。
この人の刀はザ・武器!だと感じるのは私だけじゃない筈。


太刀 長船秀光
南北朝時代・1389年
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備前鍛冶、ではあるけれど系統が明らかではない刀工とのこと。
細身というわけではないですが、隣の長義がドドーンとしているので比較すると細いです。鎬地に護摩箸。平地の刃紋は幅の小さい直刃。

南北朝から室町になるに連れて、だんだん身幅が広い刀が廃れてくる→そのときにこの子のような、それまでよりもちょっと細い刀が流行ってきたんだそうな。刀派の本流も傍流もみんなこういう刀を作ったという、まさに当時の最先端スタイルな一振。


短刀 小野繁慶 銘 繁慶
江戸時代・17世紀 重要美術品
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前職は鉄砲職人の短刀。虎徹(元甲冑職人)といいこの人といい、器用だね!?
どこが良いのか上手く言えないけど結構好き。それにしてもこの彫物は一体なんだろう……


刀 肥前忠吉
江戸時代・17世紀
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不動明王の鮮明な彫刻。
身幅が広く、厚みもあって強そう。うつくしかったです。


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今回の展示では、妙に茎尻と目釘孔のことが気になって…説明には書いていない磨上げの有無や目釘孔の位置、磨上げ前のハバキの位置とかがね。
長義の茎を見ている時、どうしても我慢できなくなって、隣にいたいかにも刀に詳しそうなおじさんに教えてください!と声をかけてしまいました;;;

そうして教えて頂いたことが
・目釘孔の新古の見分け方、磨上げ前のハバキの位置について
・正宗鑑定と銘について
・日本刀の名称・用語の多さについて
この三項目です。

まず目釘孔とハバキの位置について。
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二つの目釘孔のうち、普通に見て古いのは茎尻に近い方ですよね。
この刀の場合、見方としてはまず樋の止め方。掻き流しではなく丸留(まるどめ)・角留(かくどめ)にする方が技術的に難しい。よって普通はそれを見せるような位置にハバキが来る。(ちなみに長義は丸留、備前雲生さんと秀光は角留)
次に目釘孔の位置。通常、目釘孔はハバキから指3本下あたりに穿たれるもの。
それらを合わせて考えると、磨上げ前はこの辺にハバキがあったんだな〜ということが想像しやすくなると……

確かに!

目釘孔
あとこれは秀光の茎ね。
茎尻にある目釘孔をよ〜〜〜く見ると形がいびつなんですよ。古い目貫は孔の内側が真っ直ぐな孔ではないそうです。そんな孔の形からも新古が見分けられるんだってさ…!な、なるほど〜〜!知らなかった。



次に正宗鑑定と銘について。
籠手切正宗の「伝正宗」とは即ち「とりあえず正宗と伝わっている」ということ。
「これが正宗である」と定めるにあたって、どこからどこまでが許容範囲なのか??それを決めたのが刀剣鑑定の権威・本阿弥家。(で、でた〜〜〜!)
細かいことを省いて言うととりあえず本阿弥家が正宗贔屓だった、そのために「これが正宗」の許容範囲が広がった可能性アリなんだそうです。
ちなみに相州物のランクA+が正宗だとすると、その範囲からちょっと落ちるランクAの範囲が貞宗なんだって。

発見当時、本阿弥家に正宗と鑑定された籠手切正宗。時代が進み考証を重ねるうちに
「コイツは正宗にしては鋒も大きくて時代的にもうちょっと後の刀工のじゃないの?」「じゃあ貞宗?でも砂流しが激しくて(貞宗はもっとおとなしい)貞宗ともなんか違うよね。」

「じゃあ誰??」というのが現状みたい。

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トーハクのこの説明書も、ちゃんと読めば正宗であるということに懐疑的な立場をとった書き方なんですって。これについても解説して頂いたんだけど、私がちゃんと理解していないので書き起こせないのです\(^o^)/
⇒補足じゃ〜
この解説は「大切先の姿は正宗としては異風であるが〜」も勿論なんですけど、朝倉氏が所持していたというとこがポイント。それをふまえてここを読むとなんとなくわかる…かな?


それから鑑定に於ける銘についてなるほどと思ったこと。
・備前刀は有銘のものが多いので、それを元に無銘刀を比較できる
・銘に日付まで入れていると、同刀工の作品でも初期のものか晩年のものかがわかる。「これは兼光でも後期の作風っぽいな」という鑑定ができる。

正宗、貞宗、郷義弘は殆どが無銘刀なのでそれぞれの有銘刀との比較ができないから鑑定が難しいとのこと……貞宗と義弘好きなワイ、言うまでもなく涙目。(備前刀も好きだけど)

トドメは引き合いに出された石田貞宗。地肌が荒くて貞宗よりかは正宗っぽいとか。
石田貞宗と物吉貞宗、彫物が一緒だから疑いもなく貞宗の刀だと思ってたけど、彫物は当時の流行りもあったから……

ちょっとまってよォ…私の中では石田貞宗は既に実装候補だから……貞宗でないと困る…物吉と!!二振!!!並んでもらうの!!!!( ゚д゚ )


なんて。なかなかに動揺させられたお話でした…(´°ω°)チーン


最後に、日本刀の名称・用語の多さについて。

正宗丸いやつ
正宗のハバキより少し上にある、この囲った部分。ここにある丸い影みたいなもの。
おじさんは「これが何と言うのかわからない」とおっしゃっていました。「こんなものにも名前があるのか!?」って思いますよね。

刀をちょっとかじってみると刃文の名称から、茎の形、映り等刃に現れる現象諸々細部に渡って名づけられていることに驚きます。なぜそんなにたくさんの用語があるのか、それは先人達が刀を体系立ててしっかり研究していたからだそうです。

妙に納得しました。ちゃんと見ていなければこんなにたくさんの用語は生まれないし、そもそも起こった現象にすら気づきませんよね。

それだけたくさん研究されたのか、日本刀とはそういうものだったのか、と。
そういうものを追いかけて俄ファンな自分たちが日本各地アチコチ見に行くって、なんだか可笑しいな、不思議だなって思っちゃいました。



こんな感じでたまたまその場に居合わせたおじさんにたくさん解説して頂きました!見ず知らずの者のいきなりの問いかけにもかかわらず細かく解説して頂いて…ホント感謝;;ありがとうございました。(鯰尾・物吉の記事で書いた海老名小鍛冶が切刃造だということも、この方から教えて頂きました)

獅子王は展示開始後すぐに見に行ったんですけどカメラを忘れて、それで更新が遅くなったんですよね。で、写真を撮りに行けたのは12月11日・12日。この方にお会いしたのは12月11日。
もし私がカメラを忘れず、そして海老名小鍛冶を知らなかったら、きっと違った内容の記事になっていたんだろうな…


そんなことを思い出してひとりフフと笑っている今は、広島と京都に行った後。
一年を振り返りつつ、刀の何に惹かれたのかを考えているところで、獅子王を見に行った話を終わります。


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