信濃藤四郎を見に行った話 と 羽黒山観光はすがすがし

■日時  2016年10月8日・9日
■場所  致道博物館
■入館料 致道博物館…700円
     出羽三山歴史博物館…300円
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■旅行日程 2016年10月8日〜9日
■東京―鶴岡往復交通費 13,570円
■宿泊地・宿泊費 羽黒山宿坊 大進坊 一泊二食付き 8,900円

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東京以西に行く事が圧倒的に多い刀剣遠征。東北に行くのは夏の中鉢美術館以来。全然知らない風土を味わうのも楽しいけれど……あまりにも東北遠征が少ないのはホラ、東北出身としては淋しいじゃない?
というわけで結構楽しみにしていました今回の鶴岡遠征!訪れたエリアごとに紹介して行きますね。
加茂水族館
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加茂水族館といえば、クラゲの展示種類数が世界一ということで有名ですね。
クラゲと言われてイメージするカサのあるくらげや、瓜型のクラゲ、触手がながーーいクラゲ等たくさんみることができました!
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こちらは飼育水槽。クラゲの稚魚の他にクリオネもいます。ちいさい。
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大水槽。
なんだこの宇宙感……Pad系の音色でBGM作りたくなるぞ。とっても幻想的で癒されます。
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クラゲアイス。
コリコリする、と聞いていましたがサクサクでした(笑)どうしてだろう?ナッツが入っていたから?
クラゲソフト・クラゲアイスともにいくつか味を選ぶことができます。
沿岸部に位置するこちらの水族館、レストランでは海を眺めながら食事をすることができます。生憎の小雨ではありましたが、海を見ながら美味しい魚介を食べられるとは思っていなかったのでラッキー!
致道博物館
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刀剣乱舞ファンらしき女性に限らず、地元の年配の方もたくさんいらしていて大変賑わっておりました。
駐車場には近隣の新潟、秋田、福島、
そして横浜ナンバーの車も…横浜!?
致道博物館
致道博物館はいくつかの建物に分かれています。(詳しくは公式HPの案内図を参照)
入館してすぐ右手にある白い建物は旧西田川郡役所。明治十四年創建の重要文化財。
ここの二階には明治・大正期のレトロな道具が展示してあります。
電話機、机、看板、人力車、オルガン、ドレス、蓄音機、壁掛時計、傘がひらひらしたガラスのランプ等。なかなかいい雰囲気。
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次は旧庄内藩主御隠殿
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\バァァァン!/
玄関には信濃くんの新規イラスト!!ま、まぶしい!
ここには鶴ヶ岡城復元模型や庄内竿、薬研クラスタ必見(?)のタイの魚拓があります。
それらが展示されている廊下を抜けると、襖を取っ払った50畳くらいの広い和室。
ここから見るお庭が国指定名勝の酒井氏庭園
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いいお庭があるのってお決まりなのかな。(伝わらないヘタな写真)
お庭を眺めながら御抹茶も頂けます。


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重要文化財の田麦俣の民家・旧渋谷家住宅
外観も内装も昔のまま。三階まであることに驚き。ワクワクするのでぜひ靴を脱いで上がってみてね。
ではいよいよ信濃藤四郎展覧会場へ。
一階にはグッズ販売所と信濃くんパネル。
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クリアファイルセットとチョコクッキーを購入しました。
展示室は二階。写真撮影は禁止ですが致道博物館さんの公式Twitterにて、展示室の様子を確認する事ができます。


画像左端の、光っているケースが信濃藤四郎ね。
展示刀剣と拵えは全部で12口。
太刀 銘光(鑿長光/ノミナガミツ)
槍  銘三条吉弘 号瓶通し
太刀 銘信房作 国宝
金梨子地葵紋散糸巻太刀拵(太刀銘信房作の拵)
太刀 銘真光 国宝
金梨子地糸巻太刀拵 国宝
太刀 銘一 備前国□□住人左兵衛尉助次 延慶三年三月日 金象嵌銘 雪ノ袖 重要刀剣
刀 銘伝為遠 重要刀剣
太刀 銘銘備州長船師光 永和二年六月 重要刀剣
短刀 無銘伝左国弘
金梨子地家紋蒔絵小さ刀拵
青貝微塵霞文様塗腰刻鞘突兵拵
短刀 銘吉光 名物信濃藤四郎 重要文化財
感想は信濃藤四郎+個人的に好きだった刀をピックアップして書きます。
■短刀 銘吉光 名物信濃藤四郎
鎌倉時代 重要文化財
第一印象は澄んでいる。前田藤四郎も澄んでいるという印象でしたが、あちらが乳白色が強いとしたら信濃藤四郎はもっと透明感があるように感じました。(照明or角度のせい?)
姿が整っているのはもちろんの事、肌が詰んでいてたいへんきれい。
刃縁はふわっとしていて中直刃くらいかな?細くはない直刃に護摩箸。直刃に護摩箸というデザインの藤四郎は五虎退や岡山藤四郎にも共通するのですが…前はそこまで藤四郎に興味が無かったのであまり比較できないとこが悔しい!
■太刀 銘信房作
平安後期 国宝
てっきり古一文字の信房かと思ったら古備前でした。
腰反り高く踏ん張り強い、小鋒で雉股形の茎という平安太刀の姿。う〜ん、イイ。小丁子をまんべんなく焼き、匂口深い。この太刀も肌がきれい。
気のせいじゃなかったら丁子のような映りが見えたかな?
■太刀 銘一 備前国□□住人左兵衛尉助次 延慶三年三月日 金象嵌銘 雪ノ袖
鎌倉後期 重要刀剣
吉岡一文字。腰元に梵字(たぶん大日如来)。小鋒で肌とても良く詰んでいる。にえにえ、直刃調に小乱れ小互の目。一文字にしては刃文がおとなしいかな。
隣に並んでいた真光と比べると姿は細身。とくに鋒の方はグッと細くなっていて、ちょっと上品さを感じました。
袖ノ雪とは「さわるとおちる」という刀の鋭利さを云ったものだそうです。
■太刀 銘備州長船師光 永和二年六月
南北朝 重要刀剣
南北朝らしく豪壮で、鋒まで痩せず身幅があります。茎の具合から見ておそらく擦り上げられているのかな、姿は個人的にはあまり好みではなかったです。でも波や水滴が立ちあがるような小丁子が素敵。
どの刀剣も覇気があって良かったです!
ただですね


展示位置と照明がちょっと難しかったかな。
でも展示品が良かったので概ね満足!いいもの見て来たな〜´ω`
致道博物館周辺
荘内神社
エビで!鯛を!釣り上げろッッ!
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こちらは荘内神社さんの鯛みくじ。
定番の赤い鯛の他に黒と金も。
ここは景気良く金でしょ!と意気込んで釣ってみたおみくじの結果はお察しw
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御朱印は今回のコラボ限定のものを頂きました。
鶴岡カトリック天主堂
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無料で見学できます。写真だと堂内が暗そうに見えますが、撮った時丁度日が射していなかったんだな…もっと明るいです。
観光サイトでもおなじみの「黒いマリア像」。一時教会のお手伝いをしていたのでマリア像は見慣れていたのですが(notクリスチャン)…結構インパクトありました。本当に黒い。
窓はステンドグラスに見えますが、絵が描かれた紙をガラスで挟む製法で、日本で唯一なんだとか。
入って右手に案内アナウンスのボタンがあるので、鳴らすのをお忘れなく。
丙申堂・釈迦堂
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「みんな本丸っぽいって言っているけれど、どうせ古民家行ったらだいたいそう言うでしょ〜〜」と行く前は思っていました。
マジスマン、私も本丸っぽいと思ったw
外観からはまったくわからないのですが、かなり広いです。食堂があった場所や廊下が大所帯にはぴったり。
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良い雰囲気の台所。
建物内部は昔の造りだけあってやはり階段が急だったり戸の高さが低かったり(トイレで頭打ったw)、あと余計な段差もあります。
本丸にするならその辺リフォームしなきゃね〜なんて妄想しながら釈迦堂へ。
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ここが審神者の部屋ね。
丙申堂の離れのような場所で、ゲストをお招きした部屋だとか。こちらのお庭もたくさんの植物が植えられていて良い雰囲気。
荘内神社・天主堂・丙申堂・釈迦堂はすべて致道博物館から徒歩圏内。2時間あれば回れますが、丙申堂・釈迦堂は係の方の解説があるので、ちょっと長めに見積もっておいた方がいいかな。
出羽三山神社と宿坊
夕方は早めに切り上げてお宿へ。
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出羽参りをするのならやっぱり宿坊に泊まりたいよね!
桜小路というバス停から徒歩一分の大進坊さん。当初は随神門のすぐ隣にあるお宿を取っていたのですが、日程を間違っている事に気づき慌てて変更…しようとしたら満室だったので大進坊さんを選びました。
ツイッターにもチラッと書いたけどね、羽黒の山伏大進坊は、正宗や貞宗の彫物をした人なんですよ!偶然だけど!でもなんか嬉しい!!
付近はあっちもこっちも宿坊。
出羽三山は東北や関東で広く信仰され、遠方から来る参拝客を迎える為、このように宿坊街が発達したようです。
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夕食と朝食。
夕食の食材は左下から時計回りにアケビの皮、ワラビ、ゼンマイ、豆腐を肉にしたようなもの、魚(タラ?)、菊、ミズ、柿の白和え、お吸い物、白米、じゃがいも、ごま豆腐
朝食は左下から栃の実が入った餅、茄子、コゴミ、舞茸、イタドリ、オレンジ、お味噌汁、漬物、白米、なめこ
う〜ん、やっぱり東北の味付けは合う!実家の食事もこんな感じだったので余計に親しみがありました。
特にお気に入りだったのはお餅。栃が入っていてちょっと苦みがありますが、サラッとしていて甘さの丁度いい餡と相性バツグン。
アケビの皮やイタドリ等初めて食べる食材もありましたが、どれも大っっっ変美味。
今までの遠征の中で一番おいしい食事と言っても過言ではないかもしれな…いや金沢も負けてないかな?
でもお米の味についてはよくわからなかったヨー…周りの宿泊客は美味しい美味しいって食べていたけれど、私には普通に感じました…なぜかしら?甘みが足りない?
食べ物の話が長くなったな(笑)夕食後は五重塔ライトアップへ。
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随神門で提灯を借りたらいざ、出陣〜(cv.おともの狐)
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完全にナイトウォーク。
途中にある末社のお社や川の向こうがいい雰囲気をかもしている……しかもデジカメで周囲を撮影してみるとたくさん写るオーブ!一瞬ビビる(小雨のせいだね)
このナイトウォークとっても楽しかったです。心の小学生が大爆発するかんじ。手に持っていた杖を「岩融のまねーーー!」とか言いながらぶんぶん振り回したいくらい楽しかった。
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暗闇をズンズン進んで行くと国宝・五重塔に到着!
通常白色でのライトアップですが、訪れた日は丁度ピンクリボンデーだったのでピンクで照らされています。
ちなみに昼間はこんなかんじ
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清々しい。
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五重塔の御朱印は随神門で頂けます。
出羽三山歴史博物館
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羽黒山は五重塔から長〜〜い石段を上って行く事ができます。
しかし今回は早く刀を見たかったのでバスにて山頂へ。羽黒山頂というバス停から徒歩数分で博物館に着きます。本殿ともすぐ近く。
こちらも撮影禁止です。
一階には木彫の仏像がたくさん!
四天王、阿弥陀如来、釈迦如来、弥勒菩薩、十一面観音、千手観音、勢至菩薩、如意輪観音、地蔵菩薩、薬師如来、大日如来などなど……
ここだけでもう楽しい。
二階は結構広く、出羽三山信仰にまつわる祭具や山伏の人形、鎧、発掘された鏡などが展示してありました。
そのうちの一角が『「人間国宝月山貞一作刀」と「銘月山」刀剣』。
タイトルの通りすべて月山刀剣。ほぼすべて綾杉肌で、杢目のような模様が強いものから緻密な幾何学っぽいものまで見比べる事ができます。剣も一本あり、そちらも綾杉肌でした。剣でも綾杉肌になるんだね〜〜……って冷静に考えたらなるか。初めて見るのでちょっと驚きました。
鑑賞に於いては致道博物館さんよりも更に難易度が高かったです…!
普通は上からの照明ですがこちらはフロアライト。そのため刃がうつむき加減で展示されており、鑑賞するには基本的にしゃがんだ姿勢でいる必要がありました
メモがイマイチなので簡単に書きますが、やはり指定付きの太刀銘月山(重要美術品、月山銘最古の作)と太刀銘月山(鶴岡市指定)はばーっと見渡した時目に入りましたね。鶴岡市指定の銘月山は綾杉肌がくっきりしていて展示の中で一番肌が見えやすく、立ったままでも見られました。二振りとも姿良く、しかし微妙な塩梅で重美の銘月山の方がよかったように感じました。
末社・三社合祭殿
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とにかく末社が多い!
ここ以外にも随神門〜五重塔〜本殿の道中にもたくさん社があります。
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茅葺きの立派な建物でしたがカメラに収まり切らず!無念〜〜
ここにお参りすると、羽黒山・月山・湯殿山の三山をお参りしたこのになるんですって。
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霧がすごかった
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ドドン!見開き二ページの御朱印。
羽黒山杉並木
帰りはバスではなく徒歩で下山。その道はなんと2,446段の石段。
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国の特別天然記念物であり、ミシュラン・グリーンガイドで三ツ星(わざわざ訪れる価値がある)を獲得したこの杉並木…おっと写真は石段メインだった…樹齢350〜500年なんだそうです。
この石段、実は隠されたマークがありまして
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ヒョウタンや蓮の花が33個刻まれているんですよ!
石段はたくさんの人に踏まれすり減っているので、注意して見ていないとわからないかも。しかも石段の幅や高さは均一ではないので、捜す時は足下注意してね。何回かヒヤッとしました。
1つでも見つけられたら御の字かな〜と思ったら4つ?見つけられたました。ラッキー!
彫物探しが楽しいのかなんなのか、ナイトウォークと同じくらいワクワクルンルン。なんだこの山、楽しいぞ?と冷静な自分が突っ込みたくなるくらい。そして清々しい。
下山して大進坊のご主人に挨拶。
実は今回の旅の目的は信濃くんともうひとつ、出羽参り。
宅の神社(現在は町内の神社)には「(前略)湯殿山 月山大神 羽黒山(後略)」と記された碑があるので、家系か町内になにか関係しているのだろうと気になっていたんですよね。
そのことを紫袴であるご主人に訪ねてみたところ、おそらく私の家系・もしくは町内で過去に出羽三山を参拝している者がいるのだろうとのことでした。出身地を告げるとその可能性はより高いと…だって近くの宿坊がこうなんだもんね。
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その地域の参拝者を歓迎しますよ、ということ。
一週間前に伊勢神宮に行き、そこよりも肌に馴染むと思ったのはこういう背景があったからなのかもね。
出羽三山の祝詞には「諸々の罪穢祓い禊て清々し」ということばがあるのですが、まさにそれの如く。
疑問が解決してスッキリ、そして山の空気に心洗われて清々しい気分で帰路につくのでした。
おわりに
以上で訪れたところの紹介を終わりますが、他にも書いておきたい事をちょろちょろっと。
■夜行バスで鶴岡へ行く人に是非チェックして頂きたいのはぐっどMorningプラン。東京→鶴岡の夕陽号利用者で東京第一ホテル鶴岡で下車場合、朝食とスパのサービス券をもらえます。下車する際に運転手さんに申し出れば貰えるので必ずゲットしてね。
■即身仏見たかったな
■関東と比べたらおそらく1ヶ月くらい体感温度が違うので、上着を持って行ったほうが安心。特に朝夜。吹く風は冷たい。
■たくさんバスを使う人はきらきら日本海パスがお得だぞ
最後に、現地の有志審神者さんによる『審神者のための鶴岡案内』。展示が始まる前からたくさん情報を提供頂きたいへん参考になりました。地図も使わせて頂きました!本当にありがとうございます。
いや〜〜地方展示の際にまとまった情報提供があると本当に助かりますね。取材に行ったりそれをまとめたり…重ね重ねありがとうございます。
というわけで一泊二日の鶴岡・羽黒観光は大変楽しい旅でした。また行きたいです!
信濃藤四郎の展示は残り10日程となりましたが、これから行かれる審神者さんも楽しんで来てね!
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