好き未満、もしくは無自覚の好きか。
他人から見たら、おそらく私は「刀が好きな人」に見えるでしょう。それを自覚できたのはつい最近の事で、それまでは単に日本刀というよく知らないモノの輪郭に触れて探りたいだけでした。
専門書が読みたい!ほしい!と思った事が、「もしかして刀が好きかも?」を自覚するキッカケになったのだと思います。
刀の解説書、どれを買えばいいの?
刀に興味を持った誰もがぶち当るであろう『刀の解説書ってどれを買えばいいの?』『どうやって勉強したらいいの?』について、初心者向けの範囲で私なりに書いてみます。
下に行くほど勉強したい人向けの内容。入手しやすいラインナップです。購入時の参考になれば幸い。
※表紙・価格紹介のためにアマゾンリンクを貼っておりますが、ブラウザによっては正常に表示されない可能性があります。
日本刀〜天下名刀の物語〜

刀剣検定公式テキスト。刀剣乱舞に登場する刀も多数含む名刀をカラー写真で紹介。特に天下五剣にまつわるエピソードに力が入っていて、ゆかりの地の紹介が旅レポみたいです。以下の二冊のムックと比べて全体の雰囲気がおしゃれ。
美しき日本刀

増田俊樹さん(加州清光の声優)と佐藤拓也さん(江雪&燭台切の声優)が出ているとのこと。こちらを所持していないので詳しくはアマゾンレビューか刀剣乱舞攻略速報さんの記事でどうぞ。傾向としては一冊目の日本刀―天下名刀の物語と同じような感じだと思われます。
日本の刀剣

名刀の紹介から鑑賞のための知識(刃文の種類、造り込み、彫等)、作刀の手順、刀の購入方法についてまで浅く広く書いてあります。修正されているかわからないけど、版によっては厚藤四郎の紹介文に薬研藤四郎のエピソードが書かれているので注意。巻末に初心者向けの刀剣用語辞典アリ。
歴史人SPECAL 日本刀大図鑑

上の3冊が刀剣乱舞に登場する刀や、刀についてふわっと知っておきたいという人向けだとしたら、こちらはもう少し踏み込んでいるイメージ。刀をただ眺めるだけではなくて、知識を絡めて楽しんでみたいな〜という方にオススメの一冊。
名刀の紹介が充実しているのは勿論、刀剣鑑賞で必要な知識もオールカラーで、上の二冊より詳しく載っています。五箇伝にも触れていて、とりあえずこれに書いてあることを1/3くらい覚えて刀を見に行けば、ゼロ知識より断然楽しめます。
「ムックは内容が間違っている」「薄い」と巷でよく聞きます。
間違っている個所があることは確かですが、薄いのはムックという書籍の形態上然るべきかと。しかし入門にはこれで十分だと思います。
間違いについては…気になって別の本まで調べる人はそのうち正しいことを知るだろうし…異説もいろいろあるから…うん(だからといって本の間違を肯定するわけではないですよ)
最初は目が滑って、書いてあるにもかかわらず意外とスルーしていることもあります。知識が定着してくることにより、「なんだ、ここに書いてあったじゃん!」と気づけたり、ね。繰り返し読むのです。
刀は専門用語が大変多いので、ムックに書いてある事ですらすぐに覚えるのは難しく、ましてや実物と知識の一致には独学で勉強していると時間がかかります。
背伸びをせずにまずはお手頃なムックから。いかがでしょう?
図説・日本刀大全―決定版 (歴史群像シリーズ)
図説・日本刀大全 2―決定版 名刀・拵・刀装具総覧 (歴史群像シリーズ)


もしも今よりも少し前の知識レベルで、上で紹介したムックに物足りなさを感じていたらこれを買っていたと思います。2冊ともとても良いです。
こちらもオールカラーで刀の知識が解説されていて、最初に紹介した4冊と比べると刀装も充実しています。豪華な拵えや鍔、さまざまな柄巻も紹介されていて資料としてもある程度役に立つと思いました。
「刀の勉強を始めよう!」とちゃんと意識した上で本を購入予定の方、歴史人SPECIAL 日本刀大図鑑よりもしっかりした本がほしい方、絵を描くための資料がほしい方はコレですね。
図解 日本刀事典―刀・拵から刀工・名刀まで刀剣用語徹底網羅!!

つい一ヶ月前くらいに買いました。
今までムック以外の刀剣本を買わなかったのには二つ理由があります。ひとつは刀が本気で好きかもわからないのに専門書を所持することに躊躇いがあったこと。もうひとつはムックの内容すら暗記できていなかったからです。あとはネットで多少補うことができたたから。
しかしながら、そろそろムックでは物足りない、もっと深く知りたいと感じてきたこと。ネットで断片的に情報を探るのではなく、一冊しっかりとした解説書がほしいと思ったので本を探したところ、今の自分にはこれが丁度よさそういと感じたので購入しました。
中は全てモノクロですが、刃文・刀身彫刻・茎の形・帽子・肌・刃中の働き等が図解されていてわかりやすいです。どの項目に於いても先に紹介していた本に載っていない形状…例えば刃文なら尖り刃や簾刃、刀身彫刻なら鍬形や旗鉾等も載っています。解説も詳細。
この本には刀工についても書かれているので、ある程度刀の用語を覚えてきて今度は時代や地域の特徴、刀派や刀工についても学んでいきたいという方にオススメです。
別の言い方をすると、このブログの最近の記事を読んで何を言っているのか理解できる人は、この本を読んでもワケガワカランということにはならないでしょう。
他にも紹介したい本があるのですが、ここから先になると銘や刀派を特集した本になってくると思われるので、とりあえず初心者向け解説本の紹介はここまで。
(鍛造等の科学的な側面からについてはまだ本を読んでみようと思えないので、そっち系の本の紹介は他の方に任せた!)
座学派か、フィールドワーク派か
これによっても本の選び方は若干変わってくるかと思います。
刀の勉強をしたいけれどあまり実物の刀剣を見るチャンスがない方、外出が億劫だという方は、本や写真で知識を吸収し、実物を見に行った時に一気に答え合わせをするスタイルになるでしょう。この場合ははじめから図説・日本刀大全や図説・日本刀大全 2を選んだ方が損が無いんじゃないかな。
反対に展覧会や鑑賞会にたくさん足を運び実物を見るチャンスがある方は、実物と知識をこまめに比較することができます。現地のキャプションからも情報を吸収することができます。なのでムックでもある程度までは平気なのかもしれません。私がこのパターンです。
座学派とフィールドワーク派、どちらがよいのかと言われたら…先輩方はやはり「見ることが大事」とおっしゃる方が多いですが、最初のうちは自分に向いたやり方で良いのではないでしょうか。なぜならば、よく刀を一緒に見に行く座学派なフォロワーさんと私は、だいたい同じくらいのレベルで刀の感想を言い合えているからです。(いや、彼女の方が上だ。)
拙くとも自分の言葉で表現したいと思うのは、創作活動をする者の性なのか。
ひとつ、ブログで徹底していることがあります。それはキャプションの全文を載せないことです。
ブログ開設当初はキャプションを載せようか迷いました。刀の知識がないので、何を書いてよいのかわかわからなかったからです。
しかしキャプションの写真を貼って終わらせることは、どうも”私にとっては”手抜きに思えました。加えて、『お金と時間を支払い現地に行った当人が楽しめるモノ』もあるだろうという考えから、キャプションの全文は載せないことに決めました。
(例外として、羽田の燭台切光忠の記事では”刀”と表記されていること、真剣少女と日本刀展の記事ではキャプションに小さなキャラクターがいることを紹介したかった為に、キャプションの写真を掲載しています。)
モコモコ(互の目)、インディカ米(丁子)、エアブラシのようなグラデーション(匂)。
感じたことを自分の言葉で表現することは、用語と現象を結びつける助けになるのではないでしょうか。
見た、感じた。そして調べる、考える、まとめる。
現地に行って本体を見る、キャプションを読む、機会があったら先達にご教授頂く。
わからないところや気になった個所、また記事を構成する上で記述が必要だと思われる事を調べて文章に起こす。
文章に起こして情報を再構成することで、ある程度自分に落とし込む効果があります。
「効果があります」と断言めいた表現をしているのは、私自身がそれを体感しているから。
SNSなどで呟くのも一つの手ですよね。
もしツイートをTogetter等にまとめる際は「見た、感じた」に留まらず、ワンステップ進んで調べた事等も追記すると、より記憶に残るでしょう。
おわりに
『お前みたいな初心者が偉そうに講釈たれてんじゃねーーーーm9(^Д^)プギャー』
な内容だったと思います。わかってる、とーーーーーってもわかってる!!!!!!
わかっているけれどこれを書いたのは、刀剣乱舞がきっかけで刀に興味を持った、スタートラインが一緒の人がたくさんいるから。「他の人はどんな風に勉強しているの?」が知りたい人もゼロではない筈。
同じ目線の、今の記録。
個人的にも”今の記録”ってやつはアウトプットしておきたかったしね。
無いとは思うけれど、万が一この記事が先達の目に入るような事があるのならば微笑ましく思ってくれたら助かります(笑)
後からこれを読み返してクッソ青いwwww恥ずかしいwwwと笑う日が来る事。
すなわち、どんな形でも長く勉強を続けていることを願い、〆としたいと思います。