展覧会を知ったきっかけ
日本刀の展示ケースを作成されている中村さんが、Xにてこんな投稿をされました。
八文字長義をお持ちの方が日刀保台湾支部を立ち上げられたようです。
— 刀箱師 | 中村圭佑 | 展示ケース作家 | 刀とくらす。 (@katana_case_shi) January 9, 2025
また3/22~3/29に台湾大学にて名刀展示会が開かれるそうです。
日本から飛行機で約4時間、遠征の旅に出かけたい今日この頃です。https://t.co/QNudianlHl
台湾で刀剣展?!八文字長義も出る…のか? 行くか??
もっと詳しい情報がほしくて即座にネット上を探し回ったところ、展覧会図録を作成中という投稿を発見しました。
https://www.facebook.com/groups/1378825469745756/permalink/1383432682618368/
「日本刀の美」の投稿
上の投稿を翻訳すると、「日本美術刀剣保存協会の台湾支部設立をお祝いして、3月22~3月29日まで台湾大学総図書館日然廳にて「鐵華刃韵 日本刀の美」という展覧会を開催します。備前国友成から源清磨まで40振以上の貴重な日本刀を展示。刀剣ファンのみなさんぜひ来てね!」ということですかね。
日本での展覧会よりもちょっと情報が少なく不安な部分もありましたが、旅行も兼ねて行ってみることにしました。
台湾では、日本の旧字体に近い”繁体字”という漢字が使われています。本記事では、より読みやすくするために、一部の繁体字を日本でよく使われる漢字に直したり、併記したりして紹介しています。
主催者について
日本美術刀剣保存協会台湾支部が主催であることはFacebookの情報から分かっていたのですが、いろいろ調べていったところ『允臧齋藝術股份有限公司』様(Ethereal Auctioneers、日本語だとインゾウサイ芸術株式会社でしょうかね)という、主に古美術を扱う台湾のオークションハウスとの共同主催ということがわかりました。
展覧会概要
展覧会名:鐵華刃韵—日本刀之美
会期:2025年3月22日~3月29日
会場:国立台湾大学総図書館 日然庁ホール
展覧会案内ページ:日刀保台湾支部のFacebook、允臧齋藝術のInstagram
入館料:無料
備考:写真撮影禁止(許可を頂き撮影しています)
訪問日:2025年3月22日・24日

▲台湾大学図書館のサイトより 画像を転載・一部書き込みしています
図書館のマップ。分野別で建物が分かれています。会場の日然庁(日然廳)はマップ中央の総図書館内にあり、多目的展示ホールとして様々な催しがされている場所。
アクセスは台北MRT(地下鉄)公館駅で下車後、徒歩10分程度。
台北市内はレンタサイクルでの移動も盛んで、大学内にもいくつかポートがあります。公館駅2番出口のすぐ横にもポートがあったので、それを使って総図書館まで行ってみました。
駐輪場から図書館までの風景。動画最後の左手に写っているのが会場です。
日本刀にはどんな認定があるの?
展示刀剣リストを見る前に。
本展覧会には「重要刀剣」や「保存刀剣」という表示がされた刀が多く出品されています。国宝や重要文化財と違い、一般的な博物館や美術館ではあまり目にすることのない認定ですよね。これらについて、そして日本国外への持ち出しについてちょっと解説しますね。(細かい部分に間違いがあったらすみません)
日本刀には、国が「文化財保護法」に基づいて指定・認定するものと、日本美術刀剣保存協会(以下日刀保)が独自に認定するものの、2つの大きな分類があります。
▶ 国による指定・認定
文化財保護法に基づき、歴史的・芸術的に価値の高い刀を次のように指定しています。
- 国宝 …… 日本の宝として最上位の文化財。世界文化の見地から価値の高いもの
- 重要文化財(重文)…… 国宝に次ぐ重要な文化財
- 重要美術品(重美) …… 戦前の法律に基づく認定(現在は新たな指定はされていません)
▶ 日刀保による認定
一方で、刀剣の専門団体である日本美術刀剣保存協会は、鑑定のうえ、刀の美術的価値や保存状態に応じて、以下のような認定を行っています。
特別重要刀剣(特重)
- 重要刀剣の中でも特に優れたもの
- 原則、江戸時代以前の作刀
- 傷はほとんど無く、技術・姿・地鉄・刃文・銘すべてが最高水準
- 重要刀剣の中の別格
重要刀剣(重刀)
- 原則江戸時代以前の刀
- 美術的・歴史的価値が高く、流派や刀工の特徴が明確
- 小傷程度なら許容されるが、刃切れや大きな欠けは不可
特別保存刀剣
- 江戸時代以前が主だが、新々刀まで含む
- 健全度や保存状態が良好
- 美術的価値、銘の真贋(極め)も審査
- 展示や鑑賞に十分な水準
保存刀剣
- 江戸時代末期までの刀が中心
- 小傷や経年劣化はあるが、保存・鑑賞に適する
- 本物であり、かつ保存・鑑賞に足る状態
▶ 旧認定(現在は新規認定なし)
特別貴重刀剣 / 貴重刀剣
- 昭和47年まで使われた旧制度
- 現在の特別保存刀剣・保存刀剣に相当
- 旧鑑定書は今も有効
このような認定が刀装具に対してもあります。
日本国外への持ち出しは可能?
国宝・重要文化財は基本的に国外への持ち出し禁止。ただし例外として文化庁の許可があれば一時的な貸し出しが可能。重要美術品も簡単に持ち出せる物ではないですが、申請が通れば、販売目的の輸出が可能です。
日刀保認定の刀剣には法的制限はなく、個人の所有物として自由に売買が可能です。
展示刀剣リスト
ここをクリック(タップ)して展開してください
- 重要美術品 太刀 銘備前国友成
平安時代晩期10-12世紀 - 重要刀剣 太刀 銘一
鎌倉時代中期12-13世紀 - 特別重要刀剣 太刀 銘備前国長船住左近将監長光造 永仁二年甲午七月日
鎌倉時代晩期13世紀 - 重要刀装具 金梨地五三桐紋散鞘糸巻太刀拵(3の拵)
- 特別保存刀剣 太刀 銘長光 号二ツ桔梗長光
鎌倉時代晩期 - 重要刀剣 太刀 銘備前国長船長光造
鎌倉時代晩期13世紀 - 特別重要刀剣 太刀 銘□□住左近将監恒次
鎌倉時代晩期13-14世紀
附 金梨地五三桐紋散糸巻太刀拵 - 重要刀剣 刀 無銘則重
鎌倉時代13-14世紀 - 重要刀剣刀 無銘伝兼光
南北朝時代14世紀 - 特別重要刀剣 刀 無銘長義 号八文字長義
南北朝時代14世紀 - 重要刀剣短刀 銘村正(二代村正)
室町時代16世紀
附 錦包印籠刻鞘合口拵 - 重要刀剣 刀 銘兼定
室町時代13-14世紀
附 朱塗半太刀拵 - 刀 銘国広
安土桃山時代16-17世紀 - 重要刀剣 脇指 銘国広
桃山時代16世紀
附 黒漆千段刻塗合口脇指拵 - 特別重要刀剣 刀 山城国一条堀川住人信濃守国広 慶長十八年癸丑六月吉日
江戸時代17世紀 - 特別重要刀剣 刀 銘武州江戸越前康継 (金象嵌)二筒落 中川左平太(花押)
桃山-江戸時代16-17世紀 - 重要刀剣 刀 銘肥前国忠吉主無刀刑助
江戸時代早期17世紀 (初代忠広) - 重要刀剣 刀 銘肥前国住播磨大掾藤原忠国
江戸時代早期17世紀 - 重要刀剣 刀 肥前国住近江大掾藤原忠広 (金象嵌)寛文四年三月十日山野加右衛門知之永久(花押) 貳胴截断同勘十郎
附 黒蝋色塗鞘秋草蒔絵打刀拵 (二代忠弘) - 特別保存刀剣 刀 銘肥前国住近江大掾藤原忠広 (切付銘)安永乙未之秋賜之大瀬正寛 君候
江戸時代早期17世紀 (二代忠広) - 刀 銘肥前国住近江大掾藤原忠広 同国住人陸奥守忠吉
江戸時代早期17世紀 (二代忠広) - 刀 銘肥前国陸奥守忠吉
江戸時代19世紀 (三代忠吉) - 特別保存刀剣 薙刀 銘肥前国住陸奥守忠吉
江戸時代17-19世紀 (三代忠吉) - 保存刀剣 脇指 銘出羽大掾藤原国路 明暦元年八月日
附 海老茶漆塗脇指美拵 - 重要刀剣 刀 銘長曽祢興里虎徹入道
江戸時代早期17世紀 - 重要刀剣 刀 銘長曽祢興里入道虎徹
江戸時代早期17世紀 - 重要刀剣 刀 銘井上真改 菊紋
延宝三年八月日
附 皮巻柄棕櫚黒塗鞘打刀拵 - 特別重要刀剣 太刀 銘津田越前守助広 村雨 延宝六年三月日
附 黒蝋色塗鞘赤銅唐草紋総覆輪兵庫鎖太刀拵 - 重要刀剣 刀 銘粟田口一竿子忠綱彫同作宝永二二年二月日
附 黒蝋色刻鞘波文金具打刀拵 - 重要刀剣 脇指 銘一竿子忠綱彫同作 元禄十二年二月日
江戸時代中期18世紀 - 重要刀剣 刀 銘粟田口近江守忠綱 彫物同作 (棟)戸田頼幸令作之
江戸時代中期18世紀 - 特別重要刀剣 脇指 銘粟田口近江守忠綱 彫同作
江戸時代中期18世紀 - 特別保存刀剣 刀 銘一竿子粟田口忠綱
江戸時代中期18世紀 - 特別保存刀剣 刀 銘水心子正秀(花押)(刻印)
同十二月廿六日於武州千住文化九年二月日 伊賀兎毛乗重孔割太々工壇拂
江戸時代晩期19世紀 - 特別保存刀剣 刀 銘源清麿
附 印籠刻錆朱留塗鞘打刀拵
江戸時代晩期19世紀 - 特別保存刀剣 刀 銘天保八年十二月日小山宗次作 同十九日於千住山田五郎兩軍并頭截断
江戸時代晩期19世紀 - 特別保存刀剣 刀 銘藤原清人作 文久三年八月日
附 印籠刻朱塗鞘打刀拵
江戸時代晩期19世紀 - 特別保存刀剣 刀 銘筑前守信秀 慶応二年十二月日
江戸時代晩期19世紀 - 太刀 銘義人平成九年 七月日
現代20世紀 - 太刀 銘武蔵住国家作 平成十二年吉祥日 新作刀展無鑑査出品作也
現代21世紀 - 刀 聖徳太子七星剣(模写)
附 金銀鈿荘唐太刀拵 - 特別貴重刀装具 刀装 金梨子地五三桐丸十字金銀蒔絵糸巻太刀拵
- 刀装 梨地塗抱茗荷家紋入大小打刀拵
- 刀装 中蔦広厚君御遺物 御柄鮫白朱色鞘
- 保存刀装具 刀装 黒鑞色塗印籠刻鞘打刀拵
- 保存刀装具 刀装 青貝微塵塗三階菱 桐紋金蒔絵金金具鞘小刀拵
- 特別保存刀装具 刀装 黒塗一分刻鞘脇指拵
刀剣の認定を踏まえて展示品リストを見てみるとどうでしょう。ほとんどが一定の価値を認定された刀剣ということがわかります。まるで刀剣博物館の重要刀剣新指定展みたいだと思いました。
それから旧認定のもの。これらは新たな認定を取り直している可能性もあり、今回初めて「貴重刀剣」の表記を見ました。
全体の感想
照明はバッチリ!注目してほしいであろう箇所にしっかり照明が当たっています。上下段で展示していることもあり、全体を見るのはちょっと難しい部分もありました。肌なら肌、刃文なら刃文と照明に身を任せて見るのがよさそう。刀の置き方、照明の工夫については日本人(日刀保の方かしら?)から指導を受けたと允臧齋藝術様より伺いました。
特別な四振り以外の照明が、日本では見たことがないくらいビカビカと明るく、少し目がチカチカしました。これは主催者様側も苦心されていたよう。ライトの調達が難しいのでしょうね。いつも訪れている展覧会の明度を当たり前と感じていただけに、これは逆に良い経験だったと感じました。
そして展示刀剣のバラエティの豊富さ!まず時代が平安時代から現代まで幅広い。その上で肌・刃文・刀身彫刻と様々な見所のある刀剣を揃えていて、大変見ごたえのある構成でした。
会場の様子


見て!こんなにお客さんがたくさん!允臧齋藝術の張様(右側の写真中央)からお話を伺ったところ、これまでは台湾で日本刀に興味を持つ人は多くはなかったが、アニメやゲームの影響で急に増えてきたとのこと。そうだろうと思った!写真には写っていないですが、刀剣乱舞のぬいぐるみや、本丸博のトートを携えた女性が多数来場していました。
単眼鏡を持参したり、体を上下に動かして鑑賞している方もいましたが、僅かに留まります。そこは日本と違う風景だと感じました。


▲日刀保台湾支部長で、八文字長義ほか展示刀剣のいくつかのオーナーでもある劉朝淵様による日本刀解説。自分の撮影をしながら耳をそば立てていると、時折歓声が起こるなどして盛り上がっている様子でした。
ちょっとドキドキしていたので村雨を村正と言い間違えたり、いくつかミスがあるけど、そこは見逃してちょ!

▲お客さんがはけた後の会場風景。

▲左から1.友成、3.長光、10.八文字長義、28.村雨助広
こちらのケースは赤い線と足元のトラテープにより、接近が制限されていました。
では気になった刀剣たちを紹介していきたいと思います。
1. 太刀 銘備前国友成 重要美術品 平安時代晩期10-12世紀

この健全な友成よ!
見た瞬間に思わず口を開けて驚くような、状態の良い友成でした。
身幅がしっかりあり、ふんばりつき伏せごころ。勇壮な太刀です。


銘がハッキリと見えますね。肌立つ地鉄と、地刃に表れる荒沸の景色が楽しいです。

一部の刀剣にはこのような来歴や、同刀工の名品が紹介されていました。もちろん中国語で書いてあるのですが、旧字が読めるのであればなんとなく読めます。画像をクリック(タップ)すると大きく表示されるのでぜひ読んでみてね。
友成に関しては御物の鶯丸、東京国立博物館の備前国友成造、厳島神社の友成が引き合いに出されています。これらと並ぶくらいの優品として説明されているこの友成、うーん、納得。

ちなみにスマホカメラで翻訳してみるとこんな感じ。
私は日本人で、日本の歴史を常識程度には知っているので、この来歴もスッと頭に入ってくるのですが、台湾の方にはどのように見えているのかとても気になりました!家康くらいは名前が知られているのかしら?

キャプションも見てみましょう。どう?ほぼ全部読めますね。「公分」は中国語でセンチメートル。「反り」は日本語のままですね。同じ漢字文化圏だからこそ、こんなに継ぎ目の少ない表記が可能なのだろうと嬉しく感じました。
10. 刀 無銘長義 号八文字長義 特別重要刀剣

身幅が広いのに鎬地が狭く、そこいっぱいに棒樋を搔き流します。小丁子を全体に焼き、一部逆がかる。足・葉しきり。





映り…形は不鮮明ですが、暗帯部との明暗差はしっかり見えます。

大鋒。刃の焼きが抜けている?


荒沸を絡めた板目肌



刃文自体は動きが盛んで躍動感があるのがわかりますが、匂口はやや潤んでモヤッとしています。それが暗帯部や映りと交じり合うような濃淡を描き、湯煙のような風情のある景色。これはすごい。力強さはそのままに、今まで見た長義の中で一番麗しいと感じました。
7. 太刀 銘□□住左近将監恒次 (附)金梨子地五三桐散鞘糸巻太刀拵 特別重要刀剣
金梨子地五三桐散鞘糸巻太刀拵 IMG_7569-600x450.jpg)
金梨子地五三桐散鞘糸巻太刀拵 IMG_7571-600x450.jpg)
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身幅尋常で反りは強くないです。2.1cm。照明の関係か、帽子が見づらい刀剣がややあった中、これは丸く返っているのがよく見えました。青江の特徴である縮緬肌は刃にまで及んでいるのが見えるほど、しっかりとした地鉄の模様でした。
改めて全体を見てみると古雅で、古青江の力強さを感じます。ああ良いなと思って見ているとやはり「特別重要刀剣」。納得。
9. 刀 無銘伝兼光 南北朝時代14世紀 重要刀剣


ハバキ側は尖った互の目ですが、鋒側にゆくにつれて拳形丁子のように、まとまり気味の小丁子や互の目に変化する様が面白いです。

地刃ともに沸微塵につく
13. 刀 銘国広 安土桃山時代16-17世紀

おそらく会場内で一番ラメラメキラッキラだったのがこの国広。これは食い違い刃、二重刃になっているかしら。


刷くような沸のラインが美しい
28. 太刀 銘津田越前守助広 村雨 延宝六年二月日 (附)黒蝋色塗鞘赤銅唐草文総覆輪兵庫鎖太刀拵 南北朝時代14世紀 特別重要刀剣

助広の太刀です。茎がグイッと持ち上がり、まるで毛抜形太刀のよう。そして鵜首造というちょっと変わった姿をしています。



拵もかっこいい


摩利支天の梵字に真の俱利伽羅龍。これは剣を咥えていないですね。
助広お馴染みの濤乱刃ではなく、広めの直刃調が浅くのたれ、所々互の目が交ります。


鋒の返りが長く、棟まで焼きがかかり、龍の吐き出す炎のあたりまで返っています。

肌はよく詰み、鉄が明るく冴えています。
姿の異風さ、彫り、そして肌の明るさから、全体的に華のある太刀だと感じました。
39. 太刀 銘義人平成九年七月日 現代20世紀



日刀保台湾支部長の劉様が初めて得た日本刀も展示されていました。
日本に研修に来ていた際、吉原義人刀匠の刀と出会い、注文打ちされたそうです。一振り目から注文打ち?! 丁子を主体に一部逆心のある刃文。匂口が美しいですね。
他には
- 長光が三振りもあることに驚きますが、うち二振り(3・6)は茎尻が「切」になっていないのです!長光は磨り上げられているものを見る機会が多いので興奮しました。これ生ぶ茎だよね?


▲(左)3. 太刀 銘備前国長船住左近将監長光造 永仁二年甲午七月日 特別重要刀剣 (右)6. 太刀 銘備前国長船住長光造 重要刀剣
- 刃文よりも肌を見せたい刀が多かったかも
- 一竿子忠綱は全部で5振り。そのうちの4振り(29〜32)には玉追龍が彫刻され、このように集めて展示されていました。

- 水心子の掃いたり板目っぽくなっている帽子とても好き。
(刻印)同十二月廿六日於武州千住文化九年二月日 伊賀兔毛乗重孔割太々土壇拂 特別貴重刀剣 IMG_7668-600x450.jpg)
- 2回目の来訪にて、日本人女性の刀剣ファンとお話させていただきました!色々なところで刀剣展を訪れている方で、刀のことにも詳しく話が弾みました。異国の地で日本語で刀を語れるの嬉し〜〜!!
図録は海外通販可能

展示刀剣と一部の刀装具が載っています。
一冊2,000台湾ドル。日本円にして約9,000円程度(2025年3月現在)。台湾国外からの通販はまずはメールにて問い合わせてほしいとのこと。詳しくは允臧齋様のインスタにて。



海外にて日本の”名刀”を見るということ
これまでにも海外の博物館で日本刀を見たことはありました。それは、日本の博物館や美術館に舶来品が展示されているのと同じように、「ただ海を渡っただけ」と受け止めていたのです。
しかし、今回はその感覚が大きく変わりました。
比較対象にするのは刀に申し訳ないのですが、選び抜かれた名刀だからこそ、その重みを実感できたのかもしれません……。
詳しく書くことは控えますが、そういう意味でも、この刀剣展を訪れたことは自分にとって非常に意義深い経験となりました。
情報取得の大切さについて
思ったよりも日本人の姿が少なかったかも?もしかすると、もっと情報があれば、日本から訪れた人も多かったのかもしれません。
情報を集める段階で、日本とは勝手が違うなと感じていました。日本では、美術館や博物館の日本刀展は公式ホームページで告知されるのが一般的です。小規模な展示でも、主催者を調べれば背景がわかることが多く、無意識のうちに安心感を得ていたことに気付きました。
今回は、その「主催者の情報」や「公式の告知ページ」自体が美術館・博物館公式ではなく、それが海外ということも相まって、少し不安に感じた気がします。会場である台湾大学図書館のイベント告知ページに掲載されていたら、もう少し安心感があったかな……
それでも、こうした「違い」自体が新鮮で、新たな発見になった気がします。
海外の刀剣ファンの立場に立って
今回、自分が「日本刀を見に海外へ行く」という立場になったことで、改めて気づいたことがありました。
日本に来てくれる海外の刀剣ファンや、海外の審神者の方々も、きっとこうやって情報を集め、期待と不安を抱えながら日本を訪れてくれているのでしょう。
それに対して、私たちはどれくらい安心感のある情報を提供できているのだろう?
そう考えると、刀剣訪問ブログとして今回の経験はとても大きな学びになりました。
今展覧会で主催者の方々を知り、台湾での刀剣展がどのように開かれているのかを実際に見ることができました。
今後、台湾でまた刀剣展が開催される際には、日本の刀剣ファンの来訪に繋がるような情報発信をしていけたらと思います。日刀保台湾支部様、允臧齋芸術様、情報おしえてね!;)
https://www.instagram.com/p/DHFcjOvsMwZ/
「鐵華刃韵」終了後、3月30日~4月6日までは「相利善劍」というアジアの武器の文化特別展が開催されます。この情報が出た3月6日には、すでに飛行機を予約した後だったので来訪は叶いませんでしたが、可能なら両方の展覧会に行きたかったな!装飾が美しいんだろうな〜
雑多なこと、オタク的なこと
中国語がほとんど話せないので、英語、日本語、スマホの翻訳機を使って過ごしました。会場内では、允臧齋の皆様とは英語、劉様とは日本語で交流。台湾の方は英語よりも日本語の方が得意な方もいらっしゃり、大変申し訳なく思いました…付け焼き刃程度にしかならないけれど、行く前にもうちょっとDuolingoでやっておけばよかったな…

台湾までは青森空港からの直行便で行きました。行きは4時間半。東京を経由しないのって気軽ね。



雲類のお二人が来てくれたことにより、飛行機移動の時は近侍が自動的に決まるのがイイ。遠近感は相変わらずしんでる^^

会場前のパネルにて。同刀工の作がある子は全部撮るぞ!のつもりだったのに虎徹を忘れたーーーーーゴメンよーーーー!!!
おわりに
NHKの取材が入ったことを現地で聞いた時、妙にメラッとした気持ちを抱いてしまいました……こんなに良い展覧会なのに、大きい組織の報道だけで、日本人の刀剣ファンの目線が共有されないなんてヤダ!
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250322/k10014757371000.html?s=09
(張り合うわけではないですが) 私にしか書けない記事を書きたい。そんな気持ちでお送りいたしましたがいかがだったでしょうか。
最後に、今回の展覧会開催情報を共有してくださった中村さん、たくさんの素晴らしいコレクションを見せてくださった劉様、そしてお忙しい中ご対応いただいた允臧齋芸術の皆様に、改めて心より感謝申し上げます。
これからも、刀剣を通じた文化交流がもっと広がっていきますように! おわり