キュンパスを使いたくさんの施設で刀剣を見てきた話⑥ 同一ケースに並ぶ源氏の宝刀「旧嵯峨御所 大覚寺―百花繚乱 御所ゆかりの絵画―」

この記事はJR東日本のキュンパスを使い、以下の6つの施設を見てきた話の6番目です。

  1. 埼玉県立歴史と民俗の博物館(埼玉県さいたま市)
  2. 日枝神社宝物館(東京都千代田区) 
  3. 駿府大御所刀工館(静岡県富士市)  
  4. 三嶋大社宝物館(静岡県三島市) 
  5. 佐野美術館(静岡県三島市)
  6. 東京国立博物館(東京都台東区) ←イマココ

肝心要の行程表1行程表2

▼前回のお話

其の五

この記事はJR東日本のキュンパスを使い、以下の6つの施設を見てきた話の5番目です。 埼玉県立歴史と民俗の博物館(埼玉県さいたま市) 日枝神社宝物館(東京都千代田区) 駿府大御所刀工館(静岡県富士市)   三嶋大社[…]

佐野美術館から踊り子号で東京へ。遠征の最後は東京国立博物館にて大覚寺展と常設展。
ここまで概ね行程表通りに来られてひと心地。無事トーハクに到着。

表慶館ではハローキティ展(2024.11.1〜2025.2.24)が開催中。オブジェがSNSで話題になっていて、かわいいなーと思っていたので実際に見ることができてうれしい。
撮影待ちのお嬢さんがたを横目に、荷物を預けに本館へ。この日は夜間会館の日。大覚寺展は17時で終了ですが、そのあと常設展を見るために本館へ移動するので、先に本館に荷物を置いておくのが都合がいいというわけです。

展覧会概要

展覧会名:開創1150年記念 特別展「旧嵯峨御所 大覚寺―百花繚乱 御所ゆかりの絵画―」
会期:2025年1月21日~3月16日
会場:東京国立博物館
展覧会案内ページ:https://tsumugu.yomiuri.co.jp/daikakuji2025/https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=2665展示品リスト
入館料:一般前売り券1,900円
備考:一部撮影OK

訪問日:2025年2月14日

展示構成

  • 第一章 嵯峨天皇と空海 ─離宮嵯峨院から大覚寺へ
  • 第二章 中興の祖・後宇多法皇 ─「嵯峨御所」のはじまり
  • 第三章 歴代天皇と宮廷文化
  • 第四章 女御御所の襖絵 ─正寝殿と宸殿

大覚寺展 会場図
開創1150年記念 特別展「旧嵯峨御所 大覚寺―百花繚乱 御所ゆかりの絵画―」 展示目録より図を引用、一部書き込みを加えています

基本的に撮影は不可。第四章のみ可。
第四章の面積が広いので、特別展なのにたくさん写真が撮れるなーという体感がありました。
膝丸&髭切は第三章なので写真不可。残念!

写真が撮れる展示物

▲ ▼第四章の入口。重要文化財「野兎図」 渡辺始興筆 江戸時代・18世紀 大覚寺蔵(展示場所:D)

重要文化財「鶴図」 渡辺始興筆 江戸時代・18世紀 大覚寺蔵(展示場所:D)

重要文化財 桐竹蒔絵帳台構蒔絵部材の柄を拡大した展示物(展示場所:E)
テキスタイルの見本のようで好き。

重要文化財「牡丹図」 狩野山楽筆 江戸時代・17世紀 大覚寺蔵
会場図のFの部屋。展覧会のメインビジュアルにも使われている「牡丹図」をズラッと並べた贅沢な空間。結構広い部屋ですが、その壁を覆い尽くすほど大量に襖があったことに驚きました。

五大明王像

今回見たかった展示物の一つ。展示風景を検索するとこんなかんじ。トーハク本館やキョーハクのような暗めな場所での展示で雰囲気がありました。
やはりでかいは正義ですね。でかい、かっこいい、怖い、強い、わかりやすい。
このドデカ五大明王、実は作られた時代が異なります。背後に炎を背負っている三体は室町時代、他の二体は江戸時代の作。作者が異なるのに、並んでいても全く違和感がないのを毎回不思議に思います。

肝心の源氏の重宝たちは

つい呼びやすい名前で書いてしまうけれど、目録での表記もちゃんと載せておこうね。

太刀 銘□忠(名物 薄緑<膝丸>) 鎌倉時代 13世紀 大覚寺 重要文化財

太刀 銘安綱(名物 鬼切丸<髭切>) 平安〜鎌倉時代 12〜14世紀 北野天満宮 重要文化財

東京国立博物館 1089ブログより画像を転載 https://www.tnm.jp/modules/rblog/1/2025/01/24/2025Daikakuji_02/

最前列で見たい場合は列に並び膝丸→髭切の順で見ます。
来館日が平日だったせいかそれ程長蛇の列でもなく、何度も並び直して鑑賞することができました。姿を見るには列に並ばず、区切り線のあたりから見ることでちょうどよく鑑賞できます。
髭切・膝丸が揃って公開されたのは特集陳列・刀剣を楽しむ(2015-2016)が史上初。それぞれ独立した展示ケースでした。京のかたな展(2018)では初の同一ケース内展示。今回三度目の同時展示は初の東京、しかも同一ケース。ああ刀剣乱舞の影響。応えてくれてありがとう関係者の皆様。とうらぶ・刀剣両方のファンとして嬉しいです。また新たな歴史が刻まれましたね。

過去の「初」をどちらも見てきたのですが……今回が予想以上に良かったです。
他の展示物はすべて脇に。目の前は二振りだけ。視界全部!源氏の宝刀!!(※お客さんはいるけど)
刀剣の姿が好きで、さらに好みの二振りをじっくり堪能できたのは個人的には最高でした!その時の私は腕組みして微笑む実写版王○将軍のような顔をしていたと思います。

はーーーッッ……!去年もこの二振りを見たのに、名刀はなんぼ見ても飽きないですね!
雄々しい膝丸と比べて髭切は反り強く優美、という印象を抱いていましたが、太さだけ見たら髭切も腰あたりはまあまあしっかり太さがありますね。ただし膝丸のほうがふんばり強くつかず、鋒の方まで身幅があるのでより豪壮に見えるのか、なるほどね。それにしても二振りとも姿が良いな(サビなので繰り返す)

これは北野天満宮で撮影した髭切。姿勢は立ち膝。刃文と映りは見る角度が異なります。

豊富な表情を見せてくれる髭切ですが、ガラスケースとの距離があるのと、鑑賞姿勢が低いことに気づく必要があるので、初心者にはちょっと難しい環境。

今展示にて、距離近く、たくさんの人に見やすく展示されていたのが嬉しかったです。

そういえば二振りの写真を撮れる「刀剣撮影ナイト」という企画がありましたね。抽選結果は二回とも落選。クッソ〜〜〜と思いつつも、あまり撮影時間も長くなく、自分が普段撮るような写真は撮れなさそうなので…まいっか!

とはならないんだよな。いつか膝丸も写真に納めたいです。

常設展も

今回特に見たかったのは小龍景光と熱田神宮所蔵の来国俊。

太刀 銘 備前国長船住景光 元享二年五月日(小龍景光) 鎌倉時代・元享2年(1322) 国宝

小龍はいかに彫り物周辺を美しく撮影できるかに毎回腐心しています。たぶん今回が過去一よく撮れた!

▲小龍景光 ▼謙信景光 比べる部位が間違っているかもしれないですが、やっぱり私には片落ち互の目というやつはまだちょっと難しいです。同じには見えないよ…ね?

短刀 銘 来国俊 正和五年十一月日 鎌倉時代・正和5年(1316)

なかなかお目にかかれない通称「熱田の来国俊」。この肌の整い具合よ!キャプションには「精美な小板目肌」とありましたが、沸も微塵についていることから肌はよく見えません。沸沸沸。直刃基調で彫り物は素剣と樋。身幅はやや広めで堂々としています。なんか躍動感もあるな。彫りの溝の深さに状態の良さを感じました。

旅のおわり

トーハクでもちゃんとピン刺して御伴写真も撮った!
「ピンと写真を忘れずに」というのも今遠征の課題でした。

実はフィールドワーク中にゲームを起動するのってあんまり好みじゃないんです。なんか気が散るというか、時間がもったいないというか、それが目的で来ているわけではないから。
なのでこの機能が実装されてからも、遠征先でピン&写真を撮るという行動を自然にできなかったんです。そのくせ人様のアップした写真はいいなーと思って見てるっていうね。(オタクの複雑な気持ち)
今回は目標として定めたら達成できたので、今後の遠征もがんばって御伴機能を使っていきたいです。

全行程をこなし帰路へ。トラブルもなく、二日で6館を回るチャレンジは大成功。特に「行ったことのない施設に行く」というのは近年継続して掲げていた目標だったので、新たに2館クリアできて満足度の高い遠征でした。

目標のある詰め込み遠征もいいけど、たまにはテキトーに過ごしたいよね。ということで3月は観光も兼ねたのんびりしたスケジュールになっている……はず。乞うご期待。

其の一

今年もJR東日本でキュンパスが販売されていたので、そちらを使って東京と静岡の刀剣展覧会を見てきました。キュンパスについての詳細はこちら▶https://www.jreast.co.jp/heijitsutabi/kyunpass 連[…]

其の二

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其の三

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其の四

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其の五

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其の六(この記事)

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