キュンパスを使いたくさんの施設で刀剣を見てきた話④ 三嶋大社宝物館

この記事はJR東日本のキュンパスを使い、以下の6つの施設を見てきた話の4番目です。

  1. 埼玉県立歴史と民俗の博物館(埼玉県さいたま市)
  2. 日枝神社宝物館(東京都千代田区)
  3. 駿府大御所刀工館(静岡県富士市)  
  4. 三嶋大社宝物館(静岡県三島市) ←イマココ
  5. 佐野美術館(静岡県三島市)
  6. 東京国立博物館(東京都台東区)

肝心要の行程表1行程表2

▼前回のお話

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にぎやかなコラボ演出

三島駅に到着するともう改札周辺からコラボのポスターやら旗やらがそこらじゅうにありました。思っていたよりも大々的にコラボ!なかんじ。
(以前にコラボのタイミングで来た時もこのようにたくさん飾り付けをしてくれていたのに、それを忘れてしまう程久しぶりの三島訪問なのでした。)


レンタサイクルで三嶋大社へ

ホテルで無料のレンタサイクルサービスがあったので利用させてもらいました。荷物を預けて身軽に三嶋大社へ。
三島市には何度か来ていたにもかかわらず、だいたい佐野美術館で丸一日刀を見て終わり。という旅程だったため、三嶋大社は初訪問です。楽しみ。

▲本殿入口の門にあった寄付を募る看板

見たことある太刀だぞ~~!北条太刀と上杉太刀。東京国立博物館に所蔵されているこの二振り、もともと三嶋大社のものだったのですね!知らなかったな。
ちょっと昔話ですが…上杉太刀といえば、照明で刀の見え方が大きく左右されることを知った刀として印象に残っており、見るたびにそれを思い出してしまいます。

▲誰でピンを指せばよいかわからなかったのでたまたま近侍だった一期で。

三嶋大社本殿。ここまで無事に旅できてありがと!安全に家に帰れますように!
(遠出して神社に寄るとだいたいこう伝えています)

リニューアルされたのでしょうか。新しい木の香りが清々しい御祈願記入所。

参拝を済ませたあとは宝物館へ。
境内に足を踏み入れた時からここ目的かと思われる女性がチラホラいましたがやはり。
開館と同時に中へ吸い込まれていきました。

宝物館二階が展示室。階段の手前にこちらの大きな絵馬のあるフォトブースがありました。

ここでちょっとメモ

しっかり確認できなかったのですが、三嶋大社および宝物館にはロッカーがないですよね…?みんさんバックパックや小型のスーツケースを展示室に持ち込んでいました。
境内も砂利が敷いてあってスーツケースを引きずることは難しいですし、可能であれば三島駅のコインロッカーに預けてきた方がよさそうです。


展覧会概要

展覧会名:小特集3 三嶋大社の奉納刀剣
会期:2024年10月2日~2025年3月23日(期間中に入れ替えあり)
会場:三嶋大社宝物館(静岡)
展覧会案内ページ:https://www.mishimataisha.or.jp/treasure三島市×佐野美術館×刀剣乱舞ONLINEコラボイベント開催(※コラボ記念スタンプラリーは1/7~2/16まで)
入館料:500円
備考:写真撮影NG

訪問日:2025年2月14日

展示構成

小特集1) 情報の江戸時代
      ~爆発的に増えた情報と知~
小特集2) 鎌倉殿と伊豆北条氏
      -重要文化財の古文書から-
小特集3) 三嶋大社の奉納刀剣
      (期間中に入替あり)

以下、訪れたタイミングで展示されていた刀剣とその感想です。展示室の左→右の順で書いていきます

剣 濃州関住兼定作大永五年正月日南無春日大明神  戦国時代 大永5年(1525)

腰のあたりにある、刃文とは異なるうねったラインは何だろう?肌のなめらかさがうかがえます。
彫り物「奉進納豆州三嶋大明神御寶前 高力(こうりき)左近太夫平朝臣高長敬白」

大太刀 銘三州高力(こうりき)住長吉作 寛永元年辛丑年十一月吉日  江戸時代 寛文元年(1661)

次郎太刀くらいは太さがあったかあしら?明らかに奉納刀とわかるサイズ感。そして目釘孔もなし。全体的に錆びている。これは菖蒲造り?三ツ頭がない。

刀 無銘 伝村正  戦国時代 16世紀ごろか

目釘孔ひとつ。拳形丁子かな?焼きの谷と、拳のような三連の丁子や一つの山などを繰り返す刃文。「八幡大菩薩」の彫り。

(上段) 脇指 銘駿州住藤原盛命作 万治貳年八月吉日  江戸時代 万治2年(1659)

(下段) 脇指 銘備後福山住源國定河野氏通貫 寛文三年卯八月吉日  江戸時代 寛文3年(1663)

平造り。「奉納伊豆三嶋大明神」の彫り。金文体のような文字なのが印象的。

刀 銘「イツ」(刻印) 奉納三嶋大明神 天保二年九月吉祥日 荘司筑前大掾藤原直胤 川部正次玉井直邦  江戸時代 天保2年(1831)

「イツ」の刻印は作刀地の伊豆を表す。銘よりハバキ側に、角を取った長方形のような形で枠取りが彫られていて、まるでハンコのよう。直胤自らが奉納した刀とのこと。
キャプションより「直胤は)長命であり、作刀の旅をよくしたため、各地に優品が残る」。この刀も弟子を伴い作刀の旅時代に作ったもの。52歳時。若いころから作刀をはじめ75歳で亡くなっているので、脂がのっている頃の作品なのでしょうか。
帽子のとがり、匂出来。のたれ主体に互の目まじる刃文。

参考資料:水心子の茎にある花押。上で書いた刻印と似ている。

銘「イツ」(刻印) 天保二年仲秋 荘司筑前大掾藤原直胤(花押) 
付属:腰刻黒石目鞘  江戸時代 天保2年(1831)

豪壮で重そう!太刀サイズ。二筋樋を搔き留め。真ん中あたりに二重刃や食い違い刃かな。大慶直胤の作品二振りともかっこいい!

太刀 銘宗忠  鎌倉時代 13世紀はじめ

福岡一文字。ここまで見てきた幅広、豪壮な奉納刀や江戸時代の刀から一変、優雅な太刀姿。肌よく詰んでいて潤いがある。小丁子。乱れ映り立つ。棒樋を角留め。明治天皇が奉納。

太刀 銘平安城住藤原則定作之也 三嶋大明神御神宝 寛永十四年二月吉日 付属:梨地蒔絵太刀拵

付属の拵が遠目からでも立派で、説明を見てみれば納得の奉納者、徳川家光。
これも小鋒で優美な太刀。

もともと移動時間も含めて一時間程度の滞在予定だったのでサラッとチェックするのみになりました。どんな施設なのかを見ることができたのでOK…のつもりでしたが、やっぱり他の展示品ももっと見たかったな!


帰りがけにちょっと目に留まったのが天体図。「アルゴ座」らしき星座が描かれていていました。
アルゴ座は船の形をした大きい星座ですが、現在はりゅうこつ座、ほ座、とも座という3つの星座に分割されています。何ということはないのですが、昔の夜空を見られてなんかよかったなと。

一旦ホテルに戻り荷物をピックアップ。次は佐野美術館!

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其の一

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其の二

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其の三

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其の四(この記事)

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